ー俺らが初めて出会ったのは、小学四年生の時。
偶然クラスが同じになったんだ。
初めはとてつもなく仲が悪かった。そりゃあそうだ。
…お互い、一生全く分かり合えないんじゃないかと。
なんだかんだでこのころマサとアキは仲良しだった。
同じクラスで。
アキにとっては小学三年生の時の
トラウマであるアリス。
記憶にこびりついたまま離れない。
…まあ、マサは知らないみたいだけど…
もちろん嘘だ。マサには知らないでいてほしい。
だが、大っ嫌いなはずなのに、まだ心には、
謎のモヤがかかっていた。
ーそんなに、アリスの話をしたがらないんだ?
アリスとリナは親友だった。
まあリナはほぼ男でアリスはほぼ女の性格だった。
2人の性格も関係もこの後大きく変わることとなる。
だが誰もそんなことは知る由もないのだった。
ーあんなにもアキと関わりたがるんだ?
アリスは、自分で選んだ道を、少し…後悔していた。
アキを…いじめなければよかったと。
…俺がアキをいじめたことで、
"一度"アキの心は壊れた。
そうでもなきゃ、言われたってあんなことしないよ。
アキは。…だから俺は、性格を変えた。
せめてもの罪滅ぼしだ。
まあそんなことアキは知らねーし、きっと今も
俺を恨んでる。
しかもリナはホントにアキを嫌ってて、
アキのせいで性格も変わった。
事実、リナの親友、アリアは、あれから、
リナがいないと何もできなくなった。
だから、俺のせいで、俺がアキをいじめたせいで、
リナもアリアもそれに加わることになったんだ。
それからアキは、誰にも助けてもらえずに、…
心が壊れた。
ああ、なんで"一度"なんだって?
そりゃあ…
カノンとマサに、助けられたからだ。
もちろん、まだカノンとマサは知り合いではない。
それぞれにできることをした。いや、している。
カノンもマサも、いじめについても
アキの過去についても何も知らない。
ただ、それぞれがもっている心で、アキの心を、
ーもう一度、満たしたんだ。
やっぱり俺のせいだ!俺がいじめたことで、
噂が広まった…それでまず女子に嫌われて…
次に男子…さらに先生にまで…だから!だから心…
心まで…ああマサ!マサはなぜ…!
ーこうしてアリスは、自分は自分でいていいのだ、
もう無理をしなくていいのだと安堵した。
リナも同じだった。リナは、アリアを守るため、
性格を変えていたのだ。
しかし、マサとアリスの関係は…
ーあいつのままで、いられなくした!
「もっとあいつのことを知りたい。
でもなぜか、何もわからない。
まるでなにか、壁に遮られているように…」
壁は消えた。過去のしがらみも。
…でも、その壁は…
そう…結局マサも、意図せずではあるが、
アキを嫌っているような関わり方になっていたのだ。
もう話しかけてこない、結局味方はいない。
というより、マサも俺の過去を
知ってしまったのだろう。
俺の過去…それを知った上で味方してくれる人は、
いるのだろうか…?
…と、思っていた、その時だった。
ーこうして、俺らは、
友達として関わるようになっていった。
まだ親友とは程遠い、もどかしさを伴う関係だった。
…でも、親友になるの自体は一瞬だった。
とある出来事がきっかけだ。
それでも、…
…これは
俺の人生一の後悔だ。
もちろん今だって、ずっと…
その少し前から話そうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その出来事があったのは、
俺とアリスが友達になってから4ヶ月後だ。
…ああ、友達になったのは7月。
つまり、11月だった。
俺は、とあることでとても悩んでいた。
…そう。11月23日は、アキの誕生日なのだ。
何かをするべきなのか…無視するべきなのか…
どれだけ考えても、その答えは出るわけがなかった。
ーアリスに聞くか
それが、やっと出した、仮の答えだった。
ピリッとした空気が流れる。
俺は、この時日にちまでを言ったことで、
何が起こるか想像することができなかった。
まだ、そんな幼い心しか持っていなかったのだ。
…もちろん俺はこの言葉を聞いていなかった。
ただ、プレゼントを考えるのに夢中になっていた。
『また、親友に戻りたい…』
その一心だった。
そして当日。俺は一生懸命考えた
プレゼントを用意し、学園へ行った。
すごくワクワクしていたのを覚えている。
ただのクラスメイトなら、誕生日に
プレゼントを渡しても、別に不自然ではない。
…まあ、そうだろうな。
「ただの」クラスメイト…なら。
早足になった。もう学園は目の前だ。
普段あいさつはしないタイプの俺だったが、
今日は、なんとなく、あいさつをした。
…なにか、教室に異変が感じられたのは、その時。
誰だったかも覚えていないほど、
何も関わりがなかったサナ。
そのサナが急に話しかけてきた。
俺は教室の中で、お世辞にも友達が多いとは
いえない立ち位置だった。
ほとんど関わりがない人がまあまあいた。
…なのに
なぜか、俺にあいさつするやつらの目には、
親しみが感じられる。
絶対におかしい。
…アリス?
俺は言葉を失った。というか頭が真っ白になった。
アキは、学園にはいた。
でも、みんなの目の中には、完全にいなかった。
俺の目には映った。
でも、つい目を逸らしてしまった。
アリスの方を向く。
なぜなら、…
…明らかに、アキの机に…
俺はもう一度、アキの方を、見た。
その机には、特に悪口も書かれていない…
よくあるようないじめでもない…
…ただ、一輪の花と、手紙があるだけ。
花の名前は、「スノードロップ」
手紙の内容は…
「 前略 アキ様
急に失礼致します。
我々クラス一同からの思いを込めて、
一輪、花をお渡しします。
花の名前はスノードロップ。
花言葉は…
『貴方の死を望みます』
草々 クラス一同 」
俺は、あまりの衝撃に、手に持っていた
プレゼントを落としてしまった。
アリスは、それを拾い上げると、
ぐしゃぐしゃにして、アキの方に投げた。
俺の思いを、まるでゴミを捨てるように。
なのに、俺は何も言えず、ただ立ち尽くしていた。
アキがプレゼントを拾い、花もとり、
走ってどこかへ行くのを見届けて…
「クラス一同」と称された手紙だけが残された。
…下校まで、アキは教室に戻ってこなかった。
そのころの先生には、休みと連絡が来ていたそうだ。
…まだ手紙だけが、残されていた。
そして俺は、残された手紙を、
ぐしゃぐしゃに破る。
アキがドア前にいるのが見える。
その手には、まだ、花と…
俺からの手紙と…プレゼントが握られていた。
その時、ダァン!と大きな音が鳴ったのは、
きっと2人とも、気にしていなかったのだろう…
…そして、俺らの関わり自体は終わった。
俺からしたら、アキを助けられない自分に対する
嫌悪感がどんどん膨らみ…辛い日々だった。
…でも、五年の後半になって変わっていった
アキ…アキの明るい表情は…
それすら、俺にとって辛いものだった。
…ああ、アキが元気を取り戻したのは…
それこそ…カノンのおかげだったんだ。
…あ、ちょっとそれについてはまた後で。
まあ、俺の小学四年生の後悔はこんな感じ…?
だな。
いつまでも恨み続ける。過去の俺と今のアキを。
…どうして俺が、マサを好きになったのか…
知りたいか?
…それは、小学四年生の、11月。
マサが、アキの誕生日の日付を不用意にも
俺に伝えてしまった日。
あの日からなのか…もっと前からだったのか。
俺は、マサに恋をした。
そして、アキにスノードロップを贈る計画と、
クラスメイトにアキの真実を全て晒す計画を立てた。
…もちろん、まだ自分の気持ちには気づいていない…
そして当日。
いや、計画は成功した。
全部な。
でも…下校前、俺は聞いてしまったんだ。
俺はドア付近で息を潜めて会話を聞いていた。
その時、マサが発した言葉が…
俺の心と体を全て乗っ取ったんだ。
唐突にそんな思いが脳裏をよぎる。
もう何も意味がわからない。
自分がいるとバレてはいけないのも、
落とし物をとりにきたのも、
全て忘れていた。
ダァン!と大きい音を立て、
そのまま校舎裏へ逃げていった俺。
…そして校舎裏。
初めての感覚。意味がわからないまま。
マサに対してはだいぶ前から感じていたような…
…懐かしさ?いや違う。
少なくともこれが、苦しみを伴うものだと、
理解はしていた。でもプラスでもあると…?
苦しみ+プラスの感情=?
感情の正体は、まぎれもなく、カノンとの
会話から導き出されたものだった。
ちなみにその後、「いつか」は、2年後になった。
もうその時には、お互いに覚えていなかった…
でも、今思い返せば、俺がああいう思考になって、
マサに落とさせたのも、それが関係してんのかもな。
…とか。
色々考えてはみてるけど、やっぱりマサが
いないのだけは耐えられない…
もう、自分が消えてもいいから…
ー戻ってきてよ。
…俺がスノードロップを受け取ったのは、
その花言葉をしっかりと受け止めようと思ったから。
マサの話も、アリスの話も、カノンの話も…
俺から見たことをそのまま話す。
つまり、俺の主観だから鵜呑みにするなよ。
あー、ちなみに俺は…なんだろ…
『クロッカス』…かな…
…俺から見た、マサは…
なんだろう…花に例えたら…
…うまく例えられないかも…
マサとは、ほんっとうに仲が良くて、
なんにも邪悪さを感じさせない彼のことを、
俺は好きだったんだと思うんだよな。
…あ、もちろん、友達としてな…
とっくに自分はドロドロになって、
もう純粋ではいられなかったからさ…
…眩しかったんだな、きっと。
マサは…
『白百合』
だった。でも今はもう…
カノンを落とした奴だからな…
『ニゲラ』とか…
ああ…それこそピッタリなのが…
………………
『スノードロップ』
この発言はほんとに衝撃的すぎたな…
俺はあの「やっぱり」を俺に対する
軽蔑だととらえてる。知らんけど。
…というよりこの会話を今まで忘れてた俺よ…
あいつ、俺が幸せになるのを止めようとしてねーか?
まあ、どうせ叶わないけどな…俺の恋は一生…
…思いは、たった一年で変わるもの…
って考えると救いねーな…この世界…
もちろんまだ捨てていない…
というか、毎日使ってる。
別にトラウマでもなんでもないし。
…まあそれも強がってるだけかもしれねーけどな。
プレゼントっていうのは、筆箱。
前のがボロボロになってんの、
気づいてたみたいだからな。
好きだったよ、マサ。
でも、もう俺の思いも、きっと変わった。
…ごめんな
…アリスについてはちょっと…
…まあアイツは…最近のマサへの束縛が酷い…
だから
『スグリ』
…どうかな?
もっといいのあったりして…
ーあいつを…苦しめないといけないの?
…とは、言えない!もっと痛めつけられる…
とにかく怖いんだよ!ねぇ!
…しかも、助けてくれる人もいないんだからさ
この時、俺はまだカノンと出会っていない…
わけではなかったわ!一年生の時クラス同じだった…
…でも、俺の「天使」のカノンには、
確かにまだ、出会っていなかった。
だからこそつらかった。自分を傷つけないため、
守るため、他人を傷つけなければ
ならなかったことが。
…あー、過去のアリスはあれだな
『フキノトウ』
…これ結構怖い花言葉あるんよ…
…あっ忘れてた
ついでにカノンから聞いた範囲の過去の話から
カノンの過去も表そうと思ってたのに…
『シロツメクサ』
どうよ?
…ってカノンの過去まだ話してないか
…再開しまーす…
…そう。ハル。
「まだやる気にならないのか?」
それは、ハルを何かしら傷つけろという、
無理難題だったのだ。
(シホ)ハルを知らない方用の説明です。
ハルは、今現在のカノンとアキの親友で、
特にカノンの過去とは関係がありません。
アリスに目をつけられ、いじめの前兆がありました。
でも、アキが「やった」後は、
いじめられることもありませんでした。
ちなみにこのタイミングはまだアキとハルは
ただのクラスメイトでした。
…言い過ぎた。先の話を…
俺は結局負けた、アリス達に。
じゃあ傷つける方法はって…
後で聞いた話だと、この時は結構疲れていたらしい。
肉体的にも精神的にも。
そんな時に俺は…
ゴッ"
…教室に響き渡る鈍い音。
もう戻れない。
…そう、思っていたから。
殴って、しまったんだ。
明らかに震え、傷ついた声だった。
俺は自分でやったくせに辛くなる。
思い出すたびにもう…
…俺は何も言わずに立ち去った。
その後ハルが何を思っていたのかは、
親友となった今も、いや、一生、わかることはない。
…ついでにハルも(今だけど)
『ユキヤナギ』
俺から見た、カノンは…
…って、結構ここまでの話に入ってきてたわカノン…
過去を俺が言うのは絶対違うから言えないけど…
うーん…
…本人が言ってたのは、
『クロユリ』
だったんだけど、俺から見たら全然違くて、
『エンゼルランプ』
これは下校前、カノンが、ボソッと発した言葉。
というか、教室にはカノン以外いなかったが、
俺が忘れ物をとりにいったのだ。
…あ、もちろん六年生の時よ?
その時は席が隣で、確かになんか気まずかったけど…
まさかそう思われてるなんて思ってなくて…
「好き」って気持ちが芽生えた…
いや、はっきり認識したのはこの時だったのかもな。
カノンに嫌がらせをするマサを許さない…
そんな思いにも、ここから拍車がかかっていく。
そのせいだよな、落としたの…
…なんてことは一旦置いといて…
でもやっぱりカノンに会いたいんだ…!
ちょっと前に話したマサのあの発言…。
あれが一番の決定打だった。
明らかにこれだ。アリスはこれを利用して、
マサの手を汚させた……ただ……
マサの本心でもあったから、俺はもう…
我慢できずにさ…ねぇ、カノン!
…俺の考えはこんな感じ…?
もっかい言うけど、主観満載だから、
鵜呑みにするなよ?
…俺の親友はアキ…
でも、絶対に、アキの思いは変わっただろう。
カノンに消えてなんて(直接じゃないけど)
言ってしまった俺は重罪だな…
…あの時の「やっぱり」は…
…という意味での、「やっぱり」だ。
でも、たぶんアキには、勘違いされているだろう…
…落とされたのに、恨みきれない。
嫌いに、なりきれない。
俺の思いは、まだ全く、変わっていないからだ…
…俺も、カノンのことが好きだ。
その表し方が違いすぎた、それだけだ。
まあ、カノンはなんも知らないだろうし、
知らないでほしいから、言わないけど…
…アキの思いを変えたのは、ある意味カノンだよな…
まあもちろん俺なんだけど…?な?
まさか落とされるとは思わず…
でも、アキは俺があの時あげた筆箱、
まだずっと使ってくれている…。
彼は、人の思いをなんでも受け止めようとしている、
ほんっとうにすごい、そんなやつなんだよ…!
俺だって逃げた。自分からも、アリスからも。
アキからも、カノンからも。全部。
…もう
本当に、そう思っていた。
俺は明らかに、アキのことが好きだったからな。
…でも、カノンが現れて、それは変わった。
もしかしたら、俺の思いも、永久不変では
なかったのかもしれないと、思いつつある。
…話変わるんだけどさ
アリスって結局、なんなんだ?
俺に対して、なんか、親友とかじゃない、
特別なものを抱いているように見える…でも!
完っ全に、アリスの目、狂気が現れてきてる…
もともと尋常じゃないやつだったけど…
今までのそれとも何か違うんだよな…
…でも俺、男だったよな?
いやそうじゃなかったらやばいだろ!?
いや恥ずっ。まさか寝言とか言ってなかったよね…
…嘘だけど。まだ好きって言えてない…
見渡す限り、満面の星。
都会では見られない、ここだけの光景。
それに、
…都会では、絶対に感じられない、安らぎ。
マサは、このままここでカノンと暮らし続けたい、
そう切に願っていた…いや、願ってしまった。
カノンは、誰に言われても、信じられなかった
『大丈夫』
を、マサからも聞いた。
でも、マサなら信じられる…
そう、思ったのだ。
当然のこと、当たり前のこと。
なのに、マサの心に、痛く、深く響く。
私の…小学四年生の時の話。
悲しいこと言うとね、もう忘れちゃったの。
この時私が好きだった人の名前。
なんだったかな…
私の予想だと、この時…
両思いだったんじゃ、ないかなぁ…
…でも、私の、たった一つの行動で、全てが変わり…
私を地獄へと連れていく「私」になる自分…
まあ、自業自得なんだけどさ。
この頃の私、自分がしたことをすぐ忘れちゃって。
結果、相手が悪いって勘違いして…
いやあ、あっちにとってはとんだ災難だよね。
…それでも、確かに好きだったんだよ。
『2人』のこと。
そう。もう一人いたの。
◯◯くんの、親友。
私ははじめ、そっちのことを、好きなんだって、
…自分で自分を洗脳してたんだろうな。
まあ確かに、その親友の方がイケメンだったし、
私の好みだったとは思うんだけど…
一緒にいて、より楽しいと感じるのは、
圧倒的に◯◯くんの方だった。
これ、噂になってたってサナは言ってたけど、
正直、嘘ついてると思う。
…そこで私は
…いやまだここはマシだからね!?
◯◯くんは多分さ、この時…
私の「恋」を応援してくれてたから。
…まずいのは、時間を戻してでも止めたいのは…
この、2週間後に。
まだこの時は、親友だったのに。
踏みとどまっていれば、今の今までずっと、
親友でいれたはずだったのに。
私の勇気がなければ、
絶対今ならやらない、
この行動が災難だと、
ずっとずっと、そう…
悩んでた。そのせい?
なんで私は何にもさ…
気づかないバカなの。
煙たがられてた。それすら気づいてない自分。
絶対、読んでなかったんだ、届かなかったんだって…
思った。そして、いつのまにか
わすれていた。
俺は困惑した。
なぜ俺に「だけ」話した?
多分この調子的に、アキにも全部話したわけじゃ、
ねーんだよな?
というかその⬜︎⬜︎と◯◯って誰なんだ?
肯定しようとしたがるの?
ーお前のことが、好きだから…
ああ…また言えなかったよ、俺。
全然伝えられない…
なんか、カノンが言ってること、わかるような気が…
だから、カノンは全く悪くない。そう思う。
無視してた、そいつらが悪い。
…偏見とかなんも持たずにも、俺は、そう思ってる。
こんなところに、2人だけ取り残されて。
しかもその元凶俺だし…
もしかしたら戻れないかもしれない…
ーこのままなら、楽に…なれる?
ーそりゃそうだろ、だってー
ー大好きだから。
…そう。一目惚れだったのだ。
掃除中に、偶然目に入った。
とても真面目そうで、実際明らかに真面目な女子。
でも、彼女が何かの拍子に笑った…
可愛すぎた。この世に存在するものじゃない。
そう本気で思うほどに。
俺は抱いた。彼女の笑顔を、俺だけに対して、
向けて欲しい…そんな欲望を。
だから、その女子がアキに笑っているのを見た時。
ちょうど名札が見えて、名前を知った。
可愛い名前だと思った。
でも、その笑顔を向けられた、アキに嫉妬したんだ…
カノンのことなんて何も知らないのに。
2人の関係も何一つ知らないのに。
絶対言いたくないこと。言ってしまった。
言った瞬間思った。
『完っ全にやらかした…!!』
でも、その次の、アキの言葉。
なんで今、それが出てくるの?
ギクッとした。
自覚はあった。自分でも。
はい、、、終わりました。
逆ギレしてどうすんだよ俺…
ほんっと、この頃は…いや今もか。
全然自分を制御できなかった。
結局…伝えたいことを、伝えられずにいた。
…とか思ってたらさ
…といっても、俺はこの時返事をしていない…
というかできなかった!頭がいっぱいいっぱいで!
クラスのメンバーを見てくれ!俺は…!
…カノン、アキ、アリス、ハル、リナ、アリア、俺…
いやなんでこんなに勢揃いなんだよあの頃の!
カノンは関係ねーけど!
一年…一年の中で、いつなら伝えられる?
初対面(じゃないけどお互いに勘違いしてる)だから
名札を確認しあっている。
カノンの班(当時)
カノン、サナ、アリス、アリア
マサの班(当時)
マサ、リナ、アキ、ハル
班と偶然。とんでもないことになった…。
伝え中…
…一気に飛びます。半月後。
カノンの隣は…今まで名前出してないけど、ジュン。
男子。カノンの親友。
マサの隣は、アリア。まあ普通か…
…アキの隣リナじゃねーか
サナとハルは、ほとんど関わりはなかった。
この時まで。だからハルは心底安心している。
…はい。一人席ですね。
詳しくは結構前の話に載せたので飛ばしますが、
この席の時、マサがカノンに意地悪をし始めます。
また飛びます。次の席替え。
去年同じクラスだった。それは覚えてる。
…でもそんな仲良かったっけ?
ジュンです。
ちなみに陸上大会はさっきの間にありました。
この席の前。
…せっかくなんでエピソードを一つ。
…カノンが腕引っ張って席に座らせました。
無理矢理だけど。
…この光景次の席の時も見たな
この頃、結構アキにちょっかいを
かけるようになったハル。
その本心は?
あるんかい
…って私が突っ込んでどうすんねん
突っ込むんかい
いつも明るくて、カノンを楽しませてくれるハル。
そんな事情があったなんて…
…とはいえど、これも修学旅行前日の話。
なにかを感じたのか、それを話したくなったらしい。
アキ、結構力強いから、ハルを引きずってたりする。
気づいたら。いつのまにか。
…そんな毎日が、楽しい。カノンからしたら、
何も知らなかったし。
また飛びます
…夏休み終わってます。
カノンの隣
いない⇨ジュン⇨ハル⇨??
予想:アキにちょっかいをかける人ばっかり
⇨次はアキなのでは?
結果:アキ
おっ、リナか
この頃カノンは好意を自覚しかけている。
前のように純粋に接することは、もうできない。
だって、アキは嫌われているから。
どれだけ好きだからって、ずっと関わっていたら
噂される。傷つくのは自分一人。
でもそれよりずっと辛かったのは…
隣の席になったことで…
アキの隣になって初めて気づいたのは…
彼は、「ほんとう」に嫌われている。
そのことだ。
先ほどの例でいくと、
ジュンとサナ:何かのきっかけで喧嘩(小さいやつ)
が始まった。
ジュンがアキの机に触る⇨サナの机に触る。
サナ⇨「やめて」という。
カノン⇨それを見つける。アキがバイキン扱いされて
いることが耐えられず、声をかける。
サナ⇨「みんなやってる」と文句を言う。
カノンは、アキが隣にいるせいで、このような事象を
多く目にすることとなった。
それが、一番つらいことだった。
自分が陰口を叩かれるより、アキの陰口を聞く方が、
ずっと、ずっとつらかったんだ。
これはカノンとハルが隣だった時に、ハルが作った
小さい刀。といってもあんま痛くない。
…そろそろ次の席、飛びますかぁ
カノンの隣は、ジュン。
良かった理由は…
…あっ、「アイツ」はマサです。
3日前の給食。シホの記憶怪しいから
タイミング違うかもしれんけど。
…それお前が言う?
って心から思ったわ。僕。
あんなに嫌われててさ、知らないんでしょう?
僕の心の痛みも!その扱いを止める時の緊張も!
…だってほとんどお前、その場にいないもんね!
この瞬間、私は、早く席替えをしてほしい、
そう思ってしまった。だって…
席さえ離れれば、辛さからも解放されるから。
しかも、ほぼ確実に。
…長めの沈黙。給食中、周りが煩い。
…ああ、やっぱり離れたいな
というか僕、なんでこの人のこと、
好きになったんだろうね
一学期の時は、なあんにも、知らなかったから?
その日の帰り。
ここで話しかけるのさえ、勇気がいるの。
周りに笑われたりしないかって。
私はこの時のアキの本心を、今も知らない。
読み違えただけかもしれない。
でも、傷ついた
…この後は、しばらくぎこちなかったけど、
席替え前にはいつも通りになった。
その席は…
カノンの後ろがハル。その右後ろがアキ。
こんな感じ。
カノン ジュン マサ アリア
ハル リナ アリス
サナ アキ
実際、起きました。
折角なんで紹介します。
その次の休み時間。
…と、いうことで。
これは何回も起きてます。細部は違うけど。
この席のまま修学旅行に突入してます。
…マサ視点
スープこぼしました。
アリスから目を逸らす。代わりに入ってきたのは、
カノン、ジュン、ハル、アキが
楽しそうに話している姿。
嫉妬心が、湧かないわけなかった。
本当に、死ぬほど可愛いその笑顔。
見たい…俺だけが独り占めしたい。
…でもそんなこと言えねーよ、ばあか
だからって意地悪する俺…
ってな感じ。
そして修学旅行直前…
もちろん、マサは返事をしていない。
まだ迷っていた時のことだから。
ぎゅっ
この時のハルは、いつでも伝えられるだろうと、
思っていた。
けれど結果は…
嫌われていて、だからこその「きづかい」?
そんなのこっちから願い下げだ!
もう、ずっと何も伝えられない…
そんな経験を、何度もしたいわけがないだろ!
ちょいと続く。








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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。