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第1話

Prolog
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2021/06/15 12:50 更新
 何の変哲もない、ただの家。
 何の変哲もない日常。
 これら全てを幸福だと感じ、ただ微笑み合いながらくだらない談笑をする。
 ふと、思いいたり、おもむろに立ち上がると、相手の正面で、恭しく跪く。

 「どうしたの?」そう目を丸くさせながら問う彼女に返す言葉は、ただひとつ。

 「たとえ、世界を欺むき敵に回したとしても私が、貴女を守り抜いて見せます」
 微笑むこともせず、真っ直ぐに瞳を見据えながら愛しいその手をとり、口づけを落とす。

「なにそれ……」
 いつかのように嬉しげに、そして楽しげにコロコロと笑う彼女にふっと笑みが溢れる。
 ずっと見たかった、愛しい人の笑み。
 当たり前に感じるこの日常がどれだけ幸せであり、また、自分の手で笑顔にさせられることがどれだけ嬉しいことであるか。

 再び、微笑み合いながら手に口づけを落とす。
 一生を愛しい相手と添い遂げられるこの気持ちと共に。

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