前の話
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何の変哲もない、ただの家。
何の変哲もない日常。
これら全てを幸福だと感じ、ただ微笑み合いながらくだらない談笑をする。
ふと、思いいたり、おもむろに立ち上がると、相手の正面で、恭しく跪く。
「どうしたの?」そう目を丸くさせながら問う彼女に返す言葉は、ただひとつ。
「たとえ、世界を欺むき敵に回したとしても私が、貴女を守り抜いて見せます」
微笑むこともせず、真っ直ぐに瞳を見据えながら愛しいその手をとり、口づけを落とす。
「なにそれ……」
いつかのように嬉しげに、そして楽しげにコロコロと笑う彼女にふっと笑みが溢れる。
ずっと見たかった、愛しい人の笑み。
当たり前に感じるこの日常がどれだけ幸せであり、また、自分の手で笑顔にさせられることがどれだけ嬉しいことであるか。
再び、微笑み合いながら手に口づけを落とす。
一生を愛しい相手と添い遂げられるこの気持ちと共に。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。