重い空気の中、カプチーノ先輩が口を開いた。でも…なんとなく、なんとなくだが…こんな非常事態の中なのにどこか落ち着いている、そんな気がした。
カプチーノ先輩がネムネム先輩の無線で連絡を取っている間に、ネムネム先輩が懐から注射器を取り出した。薄い緑の液体が入っている。
そのとき、私たちの無線からいかめしい声が聞こえてきた。無線越しの声だけでも威圧感を感じる。全員がそのピリピリとした雰囲気を感じとって動きを止めた。なぜか先輩たちの顔色が悪くなる。
声を聞いて、カプチーノ先輩は信じられないと言った顔をした。
当惑の表情を浮かべた私たちをよそに、話はまとまったようだ。
どうやら事前にそういう取り決めをしていたらしく、ネムネム先輩は嫌そうに話しだした。
その瞬間。
爆音が轟き、血のように赤い閃光が収容室内までもを照らし出した。
ビリビリと空気が振動する。
息が詰まるような圧迫感を感じる。
ビシャビシャと芋虫たちがねじれ切り裂かれ弾け飛び、それの体液らしきものが琥珀色の霧のようになって薄く広がる。
《私たちは生きるために際限なく食べました。必然的な枯渇、ごみたち……》
ぶわっと琥珀色を切り払って現れたのは…赤い義体だ。その手には赤い、肉がこびりついたかのような気持ち悪い見た目の大剣を握っている。剣についた青い目がギョロリとこちらを見て…目があった。思わず息を呑む。誰も何も言葉を発さない。
やれやれと言った調子でネムネム先輩が口を開いた。
赤い義体…ゲブラー…さんは、カツカツと歩み寄ってきて、ネムネム先輩の首元にその剣を突きつけた。
…私が一番ネムネム先輩に近いのはなんでだ?あれを振り回されたら足元の私までもがスッパリ切れてしまうのではないかと不安になってしまう。と言うか、一周回って恐怖心は薄れてしまった。あまりのことに脳味噌が麻痺しているんじゃないかな。はっはっは。
そう問われて恐る恐るカプチーノ先輩が手を挙げた。
怒っているのか知らないが、ゲブラーさんに気圧されて私たちは声も出ない。
…ここって、翼なんだよね?裏路地じゃなくて?それより酷い気もするけど…ほら、皆んな顔が蒼白だよ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。