放課後の帰り道。
校門を出てすぐの場所で、私は立ち止まった。
…マキマさんの言葉、まだ胸に残ってる……
優しい声なのに、背中に冷たいものが走るような囁き。
まるで、逃がさないと言われたみたいだった。
そんなことを考えながら歩いていると──
突然、私の前に影が飛び出してきた。
勢いが強すぎて、思わずのけぞる。
元気すぎる声。
勢いのまま近づいてくる少年。
金色の髪、動物みたいな目、
制服ではなく公安の作業服。
私を見て、ぱあっと顔を輝かせた。
──デンジ。
後ろからアキが止めに入る。
やれやれと言いたげな表情。
…この子が、チェンソーマン……?
デンジはアキの制止なんて無視して、私の顔の前までぐいっと詰めてくる。
勢いが強すぎて言葉が追いつかない。
……また変な子って言ってる...
私がしょんぼりして視線を落とすと、
それに気づいたアキが慌てたように言う。
珍しく言い淀むアキ。
デンジがにやにやしながら横から口を出す。
軽い言い合いが始まり、私はぼんやり二人を眺めた。
……なんか、この空気、安心する...
デンジはふと、こちらに向き直る。
とアキが突っ込むが、デンジは全く気にしない。
デンジは私を覗き込んで言った。
心臓がずきりと痛む。
誰にもそんなふうに言われたことがない。
ましてや、初対面で。
図星すぎて言葉が出ない。
アキが横から眉をひそめる。
そして満面の笑顔でこう言った。
その言葉は不器用で、無神経で、でも真っ直ぐだった。
胸の奥がじんわりと温かくなる。
……なんか、この子……嫌いじゃない……
アキが私の肩にそっと手を置く。
私は二人に挟まれるようにして歩き出した。
ちょっと恥ずかしくて、でも──
その道のりは昨日よりずっと明るい気がした。
ただ。
歩く私たちの背中を、
遠くからじっと見つめる赤い瞳があったことに──
私たちは誰も気づかなかった。
マキマは小さく微笑む。
私を巡る絆も、混乱も、
すべて“彼女の掌の上”にあることを示すように。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。