第6話

不器用な好奇心はチェンソーの音
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2025/12/07 12:13 更新
放課後の帰り道。
校門を出てすぐの場所で、私は立ち止まった。
…マキマさんの言葉、まだ胸に残ってる……
マキマ
怖いことがあったら、早川くんではなく私を呼んでくださいね?
優しい声なのに、背中に冷たいものが走るような囁き。
まるで、逃がさないと言われたみたいだった。

そんなことを考えながら歩いていると──
??
おおっ!? ちょっと待てアキ! あの子だろ!? 昨日の!
突然、私の前に影が飛び出してきた。
勢いが強すぎて、思わずのけぞる。
あなた
うわっ!?
??
おーい! 君、昨日悪魔に襲われたってヤツだよな!?
元気すぎる声。
勢いのまま近づいてくる少年。

金色の髪、動物みたいな目、
制服ではなく公安の作業服。

私を見て、ぱあっと顔を輝かせた。

──デンジ。
デンジ
はじめまして! オレ、デンジ! チェンソーの悪魔でぇす!
早川アキ
ちょ、デンジ。近い、離れろ
後ろからアキが止めに入る。
やれやれと言いたげな表情。
…この子が、チェンソーマン……?
デンジはアキの制止なんて無視して、私の顔の前までぐいっと詰めてくる。
デンジ
なぁなぁ、君ほんとに一人で悪魔に狙われたの!? 怖くなかった!? でも無事でよかったな!
あなた
え、あ...あの...
勢いが強すぎて言葉が追いつかない。
デンジ
アキ、なんか言ってたぞ! “変な子が巻き込まれた”って!
……また変な子って言ってる...
私がしょんぼりして視線を落とすと、
それに気づいたアキが慌てたように言う。
早川アキ
……あれは、言葉の綾だ。変とかじゃなくて……ただ、その…
珍しく言い淀むアキ。
デンジがにやにやしながら横から口を出す。
デンジ
お? アキ、お前照れてんな?
早川アキ
照れてない。黙れデンジ
軽い言い合いが始まり、私はぼんやり二人を眺めた。
……なんか、この空気、安心する...
デンジはふと、こちらに向き直る。
デンジ
なぁ君、怖かったらいつでも言えよ! オレ強ぇからよ!
あなた
えっと……ありがとう……
デンジ
よし決めた! オレ、お前のこと守る!!
早川アキ
勝手に決めるな
とアキが突っ込むが、デンジは全く気にしない。
デンジ
だってよー! 怖ぇ目してたんだもん、この子!
早川アキ
怖い目?
デンジは私を覗き込んで言った。
デンジ
泣きそうで、でも泣かねぇ、みたいな目
心臓がずきりと痛む。

誰にもそんなふうに言われたことがない。
ましてや、初対面で。
デンジ
……君、ひとりで抱え込むタイプっしょ?
あなた
っ...!
図星すぎて言葉が出ない。
アキが横から眉をひそめる。
早川アキ
おいデンジ、あまり変なこと言うな
デンジ
変じゃねぇよ! 見れば分かるって!
そして満面の笑顔でこう言った。
デンジ
ひとりで抱えてんの、つれーよな。オレらいるからよ! 元気出せって!
その言葉は不器用で、無神経で、でも真っ直ぐだった。

胸の奥がじんわりと温かくなる。

……なんか、この子……嫌いじゃない……

アキが私の肩にそっと手を置く。
早川アキ
帰るなら、送る。今日は家に悪魔の気配はなかったけど……警戒したほうがいい
デンジ
おうおう! オレも行くわ! 何かまた出たらぶっ壊すし!
私は二人に挟まれるようにして歩き出した。

ちょっと恥ずかしくて、でも──
その道のりは昨日よりずっと明るい気がした。

ただ。

歩く私たちの背中を、
遠くからじっと見つめる赤い瞳があったことに──

私たちは誰も気づかなかった。

マキマは小さく微笑む。
マキマ
……ふふ。面白くなってきたね
私を巡る絆も、混乱も、
すべて“彼女の掌の上”にあることを示すように。

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