朝の教室
周りのクラスメイト達の声
向けられた視線
広がる噂
私は確かにここにいるのに、居場所なんてないと言われているような気がした
きっと、「私なんていなくていい」
普通になれない私を、誰も必要としていない
そう、思っていた
本当は「普通になりたい」
目立たない、嫌われない、友達も居場所もあって
私はただそれだけを求めていた
誰かを愛したい、大切にしたいと思う
でもその気持ちを向けようとした瞬間
「迷惑だったら」
「嫌われたら」
そんな考えがどうしても頭をよぎってしまう
でもできるだけ苦しそうじゃないように
私はいつも笑ってる
大丈夫なフリをして、ここにいる
放課後の、夕陽が校舎を染める頃
教室に人はいなくなって
静けさだけが残る
私が好きな時間
誰の期待にも応えなくていい
誰の顔色も伺わなくていい
嫌われる心配をしなくていい
だから、いつもこぼしてしまう
その願いは、天に届くこともなく夕焼けに溶けていく
それでも___
同じ孤独を抱えている誰かが
どこか近くで同じ空を見ていることを
少女はまだ知らない
この物語は、独りで生き続ける少女が
誰かを愛せるように
誰かが愛してくれるように
自分の居場所を探す旅のお話













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。