その一言で、沈んでいたリビングの空気が、少し浮いた気がした。
水色の瞳が、生き生きと輝いている。
流星群、とは、なんとも彼らしい。
始めに口を開いたのは、しょうちゃんだった。
みんなの顔がぱっと明るくなる。
…流れ星にお願い事したら、病気も治るのかな…なんて。
そんな考えを振り払って、前を向いた。
今夜はいったん、忘れて楽しもう。
23時58分。
ベランダには、6人全員が集まっていた。
こんな山奥だから、星もよくみえる。
夜風は思ったよりも冷たくて、
ほんの少しだけ肩をすくめた。
そう応えて、まろが目を伏せる。
その色が赤じゃなかったことに、少しだけ安堵した。
ばっと話し声が広がり、
その場は願い事の話で盛り上がり始める。
ないくんの方を見た。
…これから先も、ずっとみんなと一緒にいれたら———
紫色の瞳が、今度はこちらを向いた。
0時。
自然と、全員が口を閉ざした。
空気が静かに張りつめる。
…その時。
月明かりに煌く指が、空を指した。
皆の視線が吸い寄せられる。
すっと、空を切るように、白い光が、一本。
思わず、そう呟いた。
間を置いて、また一本。
さらにもう一本。
次々に落ちていく星々。
白く、淡い。
流れては、瞬く間に…
消える。
その言葉が頭をよぎった瞬間、
ないくんの姿が、背景に溶けた気がした。
思わず、半透明の腕を掴む。
ないくんは、驚いたように目を見開いた。
…消えないで。
腕を離す。
再度、空に目を向けた。
夜空を横切った、
ひときわ大きな流れ星。
どこからともなく声が漏れる。
今は。
今だけは。
病気のことも、未来への不安も、
全部、流れ星と一緒に遠くへ流してしまって。
今夜は、ただ、綺麗だと思えれば、それでよかった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。