第15話

#11【糸切鋏を手に持つ】
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2024/07/04 13:19 更新
そこで考え出したのは、道化でした。
それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。

                 太宰治『人間失格』
【津島家 用餐】(初めの画像は前回おさらい的な物です)
……
只、嫌なくらいに煩い心音が、耳に響く。
誰も、何も発さない。静寂が、此の場を支配する。
修治(5太宰)
…、…
深く頭を下げているから、男の顔は見えない。
ちらりと横の兄の方へ目をやるのだが、
兄達は汗を流して壁にもたれかけている。
……
……クク、
ふと、男が口角を上げ、大きな声で嗤う。
ククク、アハハハハハハ!!!真逆、
そんな提案をすると思ってなかったぜ!
済まなかったなぁ、てっきり俺は、
御前の事を臆病者の只の餓鬼だと思ってた
口が引き裂かれんばかりに吊り上げる男。
実際は、こんなイカれた提案をする程に
覚悟の決まってる奴だったんだなぁ、
こりゃあ申し訳ねぇ事をした!
修治(5太宰)
……だったら、、僕は、早く此場を去ります。
嗚呼。おら、着いて来い。
之で、良いんだ。之で良い。
……御母様は、もう居なくなってしまったけれど……
少しでも、多くの家族が、生きてくれるのなら……







之が、僕の“最適解”だ。
修治(5太宰)
…分かりまし___
僕が「分かりました」と言い手を触れようとした瞬間、
パチンッ!と乾いた音と共に衝撃が走る。
修治(5太宰)
い、っ〜…!
っ゙…!あ゙?何だ、御前
自分が手を引っ込めると同時に、男も手を下げる。
ふと、視界に映る腕が増えている事に気付く。
修治(5太宰)
(駄目だ)
気付いた時には、もう遅かった。
修父
……、はぁ…はぁ、!
手を叩いたのは、御父様だった。
修治(5太宰)
(駄目、止めて、御父様。)
修治(5太宰)
(お願いだから、、、 )
お願いだから止めてよ。僕の選ぶ最適解が、成り立たない。
御父様、此処で僕を止めたら死んじゃうんだよ?
僕なんか放って、放っておいてよ。
……でも、幾ら願っても、届いているはずはなく。
修父
ッ……妻を殺されて、大切な息子も
見殺しにしろだと?巫山戯るなよ!
御父様の叫び声で、御兄様達も正気に戻り、声を上げる。
修兄
そ、そうだ!何で弟を
見棄てなきゃいけないんだ!!
……
先程の良い玩具を見つけた様な目をしていた男が、
どんどんと曇っていく。
……残念だなぁ、餓鬼。御前は賢いが、
家族はそうでも無いらしい。
興醒めたような、冷たい声でそう放つ。
修治(5太宰)
(……拙い)
僕は、人に嫌われない様に必死で、人の顔色を見るのに
慣れている。其の人の怒ったタイミングも、分かる。
___其れが、今起こっている。
修治(5太宰)
(如何しよう、怒ってる、怒ってる!
僕は如何したら良いの?家族から
離れるだけじゃ、許されないの?)
修治(5太宰)
ま、待って、待って下さいッ!
僕が、付いて行って、何でもするから…!




……御前の家族にとって、一番最悪
なのは御前を連れて行く事だよなぁ
ふと、男が口を開く。
修治(5太宰)
…?…。はい、屹度……
なら、御前を此の儘連れてって、此奴等の
顔を拝むと良い憂さ晴らしになりそうだ
修治(5太宰)
……はい。
矢っ張りだ。……何となく想像していた言葉が降りてくる。
もう僕は腹を括った。永遠に会えなくても、構わない。
修父
なっ……御前ェ!
修治(5太宰)
___御父様ッ!
修父
ッ…!し、修……
僕を止めようとする御父様の言葉を、強引に遮る。
修治(5太宰)
……もう、良い。良いんだよ……全部。
修治(5太宰)
僕は、もう全部諦めたから…。もう、
僕の為に苦しまなくて良いんだよ。
修治(5太宰)
あはは、僕、弱いからさ……。
御父様達が傷ついてるの、見たくないや…
自分でも酷い顔をしているのが分かる。
乾いた笑いが喉から出た時、御父様も顔を歪ませていた。
修父
……修、……
話は済んだか?とっとと行くぞ。
修治(5太宰)
……あ、済みません、最後に一つだけ……
…チッ、さっさとしろ。

僕は、家族の方へ振り向き直す。
修兄
修…!
修兄2
……修…。
修治(5太宰)
……御母様。
修治(5太宰)
いつも優しくて、美味しい御飯を作って
くれた御母様。僕が寂しい時は、
大丈夫って行ってくれて、凄く嬉しかった。
修治(5太宰)
御父様。
修父
修治(5太宰)
いつも確りしてて、格好良い御父様。
僕が怖い夢を見た時、おいでって言って
抱き締めてくれたのが本当に嬉しかった。
修治(5太宰)
……御兄様達。
修治(5太宰)
いつも賢くて、一緒に遊んでくれた御兄様。
僕が知らない事を教えてくれて、
元気いっぱいに話してくれるのが嬉しかった。
すう、と息を吸う。
満面の笑みで、僕は言う。ずっと言いたかったことを。
修治(5太宰)
……皆、皆。僕だけの家族。大好きっ!
僕の事は忘れて、平和に生きてね。
皆、ヨボヨボになるまで。
修治(5太宰)
___そして、ごめんなさい。さようなら。
修兄2
……俺、嫌だよ、修。
修兄
こんな、こんなお別れなんて……
修父
___待ってくれよ、修!
修治(5太宰)
……
修治(5太宰)
……別れは、済ませました。
おう。ならさっさと行くか。
御母様の前に立っていた男は、立ち上がり……

































“母に火を放った。”


修治(5太宰)
___え、
ボウ!と音を立て御母様が燃えていく。
火は瞬く間に広がり、壁に移り辺を黒くする。




気づいたら、僕は男に担がれて外へと出ていた。
【津島家付近の森】
修治(5太宰)
___いや、嫌、嫌嫌嫌嫌ッ!
御父様、御兄様…御母様ッ!!!
修治(5太宰)
やだ、やだ!逃げて、逃げてよぉ!
早く!早く!皆、何でッ…!!!
目の前がぼやけて何も見えなくなりながらも、
僕は必死に轟々と燃える家に向かって叫んでいた。
チッ、五月蠅えなぁ!一々騒ぐんじゃねぇよ!
男は苛立ちを隠さぬ様に、僕に力一杯拳を振るった。
修治(5太宰)
ぃ゙ッ…!
肉の音が鳴り、衝撃が走ると口の中は血で満たされた。
抑々、此方は御前だけを狙ってんだ!
彼の馬鹿共がギャアギャア騒ぐから
全員殺した!其の程度で恨みが全部
晴らせるわけねぇだろうが!!!
そう男は叫びながら、ずっと僕に拳や足を振るう。
修治(5太宰)
…、……ごめ、……さい……
……はぁ、俺は近くのテントで寝る。
逃げるなんて馬鹿な真似するんじゃねえぞ。
そう吐き捨てて男は僕を置いて森の奥へと消えた。
体中に激痛が走るが、弱い僕は泣くことしかできなかった。
修治(5太宰)
……ごめんなさい、みんな……
嗚呼、自分の命を此処まで呪ったことが有っただろうか。
ー現在ー【武装探偵社 社内】
誰も、何も言えなかった。
太宰(22)
……うん、取敢えずはこんな感じですかね。
此後は、先程話していた男に連れられて或る
施設に行きました。其処でも苦労しましたよ。
太宰(22)
……と、まぁ、此の後知らされたのだけれど、
家の燃え跡から大人2名と子供2名の
死体が見つかったらしいんですよ。
太宰(22)
施設に連れて行かれた後直ぐに
聞いたんですけど、少しでも
「生きてるかも」なんて思った
私が馬鹿みたいでしたね。
諦めた様な目で、乾いた笑いを浮かべる太宰さんが、
今は迚も幼い子供のように思える。
……、
太宰(22)
…嗚呼、そう。思い出しました。
太宰(22)
私、男から其の火事の事を聞いたんです。
其時、男が何を言ったか分かります?
 
太宰(22)
『御前が気絶してくれて良かった。
そうじゃないと家に鍵を掛けれなかった。
御前が家族想いだから、ショックで
倒れた。御前の家族愛のせいで、
その大切な家族が死んだんだ!』
太宰(22)
『其れと同じで、御前の家族も御前を
愛していなければ死ななかったろうな。
彼の時、素直に諦めて自分だけ逃げれば
良かったんだ。御前なんか放って自分を
優先して逃げたら、死ぬ事は無かった。
怪我をする事さえ無かったろう。
熟、馬鹿な奴等だよな!!!』

太宰(22)
…ってね。
……嗚呼、なんて悲しいんだろう。

『御前の所為で死んだ』?『馬鹿な奴等』?

そんなの……そんな訳、無いじゃないか。
太宰さんは、何も悪くないじゃないですか…。
太宰(22)
…敦くん。でもね、私は異能を
持って生まれたんだよ。
太宰(22)
此の世界では、異能は全ての人に認知
されていない。然し、横浜は可り
異能に寛容的な方だと言えるだろう。
太宰(22)
……だが、そうでは無い所も勿論有る。
太宰(22)
実際、探偵社の依頼人の中に、異能で
迫害されたと云う人も居ただろう?
……
僕は思わず言葉が詰まる。
本当は、僕も迫害されていても可笑しくなかったのだから。
院長先生が隠してくれていなかったら、屹度僕は
今頃死んでいただろう。

すると、谷崎さんが口を開く。
谷崎
……太宰さんが、前に放火被害に遭った
子供の担当を立候補したのって……
太宰(22)
……、彼の時の様な事を二度と
起こしたくなかったのだよ。
彼の子は、異能者だったみたいだし…
太宰(22)
まぁ、そんな事も遭って火が苦手でね。
ポートマフィアの時は抗争中に
嫌でも炎を見るから、慣れたつもりだった
のだけれど……少し気が緩んじゃったかな。
悲しそうに笑う太宰さん。
……此人は、一体どれだけ苦しめば赦して貰えるんだろう。




乱歩さんがポートマフィアの太宰さん二人に声を掛ける。
乱歩
却説、二人共、記憶は如何かな?
太宰(18)
…さっぱりですね。記憶が戻る
感覚は無いですし、只知識が
増えただけです。
太宰(15)
本を読み聞かせされてた気分だよ。
自分事って感じがしない。
太宰(15)
……でも確かに、僕達の記憶は
途中からしか無いから、本当なんだよね。
太宰(22)
だから、本当だと言ってるじゃないか。
太宰(15)
そう……。なら、続きを聞かせて。
太宰(18)
私達も、そして彼等も、未だ
聞ける事が山程有る。話して貰うよ。
太宰(22)
はぁ……そう焦らなくても、
私は逃げれないし嘘も言わないよ。
太宰さんは、すう、と息を吸い、吐く。
太宰(22)
……次は、施設に連れて行かれた後の話だね。
一同
……
……聞かせて、下さい。
太宰(22)
嗚呼。それじゃあ、
太宰(22)
___話をしようか。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
けれど、此の痛みは、此の辛さは、全て、
僕の背負わないといけない物。

僕の罪、僕の業、僕の罰。

生まれた事に対する、懺悔の方法。
【あとがき】
皆様ど〜もお久しぶりです
CocoaAisuでございます!☕🍨
本編更新が、最後5/30なので……
うわ、丸々1ヶ月更新できなかった…
申し訳ありません!💦m(_ _)m
あぁでも、その代わりに
テストで2回連続目標点数を
超えることができました!
(謎報告)
今回のお話は、如何でしたか?
ちょっと疲れてて文確認できて
ないので文章構成グチャだったり、
誤字脱字等有るかもしれません…
可笑しな点や、疑問に思った点など
御座いましたら、コメントを
下さい!答えられる範囲で
答えさせて頂きます(о´∀`о)
もちろん、ただの感想コメントも
お待ちしております!
是非是非コメントして下さい✨
次回は遅くて8月上旬に
更新予定でございます!
7月は、夏休み入ったら
課題やら部活の行事2回あるやらで
忙しいので難しいと思います💦
気長に待ってやって下さい!
それでは、あとがきが長く
成り過ぎてもあれなので
お暇しましょう!
次回もお楽しみに!
それでは〜!👋

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