三枝くんは相当体調が悪いのか、素直に私に従って保健室に行ってくれた
保健室には先生がいなかった
けれど奥のベッドは空いていたので
そう言ったけれど三枝くんは頭を振った
自分の方が辛そうなのに、先に私の膝を手当てしようとする
体温計を取ろうとしたところで両肩を押されて、無理やり椅子に座らされた
さっきまで私に触るのもいやそうだったのに
態度の変化にあっけにとられていると、三枝くんは私の後ろに立ったまま絞り出すような声でつぶやいた
なんだかその言い方は私が大事にされているみたいだ
胸がドキドキしはじめた
これが自意識過剰というやつか
でもそんな言い方をされたら…
三枝くんは私の前に回って、ひざのけがを確認するようにひざまずく
手当してくれるつもりなんだと思って、慌てた私は
大丈夫だよと言おうとした
だけど言えなかった
三枝くんのとった行動が予想外すぎて
三枝くんは私の前にひざまずいたまま、顔を近づけてきた
童話の中の王子様がお姫様の手に口づけするみたいに
胸が高鳴って仕方なかった
流れるような動作がスローモーションに見える
けれど三枝くんが口づけたのは私の手なんかじゃなくて
ケガをした膝だった
膝に柔らかい唇の感触が伝わる
そのまま、ちゅうっとけがをした傷跡を吸われた
ケガをしたときに、お母さんが舐めてくれたことは…まぁある
消毒の代わりだよって
だけど私もう中学生だよ!?
三枝くん、お母さんじゃないし!
って、これじゃ転校初日と一緒じゃんかー!!
あの時紙で切って血が少し出た私の指を三枝くんがパクッて咥えたよね?
やっぱりあれは夢でも幻でもなかったんだ!!
to be continuited











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!