凪くんがふいっと目を逸らす。
絶対揶揄った …
玲王がケラケラと笑う。
… よし、
私達は車に乗り込む。
行先は … チャペル。
今日は、" あの人 " の結婚式なのだ。
あの日 ___ 10月1日から、半年。
秋が終わり、冬が去って、春。
私達はまた一つ、大人への階段を登った。
私達3人は同じクラス。
相変わらず、仲良くしていた。
10月1日から3ヶ月程過ぎた後、突然お姉ちゃんから「結婚報告」をされた。
相手は、お姉ちゃんの仕事場の同僚さん。
お姉ちゃんは10月1日の後、仕事を見つけて就職した。
普通の事務?って言ってたけど。
報告は本当に突然で、凄く驚いた。
でも幸せそうなお姉ちゃんを見て、安心した。
お姉ちゃんを愛してくれる人が、
お姉ちゃんが一生を共にしたいと思える人が、
現れたんだ、って事に。
凪くんは恋愛とか興味無さそうだしなぁ、
凪くんがゲームをしながら棒読みで返してくる。
あら …
そんな会話をする。
初めて会うからなぁ、
義兄さんにあたるのかな?
暫く乗っていると、会場に着いたらしく。
「着きましたよ。」という黒木の言葉に頷いた。
車が止まる。
黒木がドアを開けてくれた。
感謝を告げて外へ出る。
わぁ …
黒木に促され、四人で中へ入る。
先に来ていた両親に手を振る。
指し示された所へ座った。
周りを見回せば、恐らくお姉ちゃんの仕事場の人であろう大人の人が何人か座っている。
暫くして、結婚式が始まった。
式が終わり、食事の時間。
式の主役であるお姉ちゃんに近付く。
純白のドレスに包まれたお姉ちゃんは本当に綺麗で、眩しい。
結婚相手の人を見れば、お姉ちゃんは嬉しそうに頷く。
前世の分まで、幸せを掴んだ。
そう物語っている笑顔。
お姉ちゃんの言葉に、深く頷く。
ほんとに、
あのループが起きた時 …
改めてそれを感じた。
玲王との事を言っているんだろう。
まだ早い … よね?
学生だし。
その後、花嫁のブーケトスで。
大人の人が沢山 … 特に女性が集まる。
そっか、ブーケトスのブーケを取れると、婚期が近付く … とか、そういう話があるんだっけ?
なら、私も …
お姉ちゃんが此方を見る。
そして、ブーケを投げた。
ポスッと手元にブーケが落ちる。
… ??
絶対狙ったよね、お姉ちゃん …
皆が拍手をしてくれる。
そろそろ、か …
いや、でもまだ早い …
「ここで言うつもりは無かったんだけど、」と玲王が頬を搔く。
こん … やく?
状況が理解出来ていないのは私だけだろうか。
いつの間にか、また拍手が鳴り始めた。
包み込むような優しい雰囲気。
玲王に名前を呼ばれ、背筋を伸ばす。
胸が高鳴り始めた。
真剣な顔でそう尋ねる玲王。
答えは一つに決まっていた。
ブーケを片手に、玲王へと抱き着く。
玲王はいつかの日と同じように、優しく抱きとめてくれた。
幸せの捕まえ方は、簡単。
優しく、手を伸ばすだけだから。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。