翔太は人気者だ 。
ふと翔太を見るとほとんど周りに誰かいる 。
俺はあんな簡単に話しかけられないのに 。
時々翔太をご飯に誘う様子を見かけることもある 。
俺はちゃんと誘えたことほとんどないのに 。
翔太はすごいから 、 昔から周りに囲まれてたし 、
慣れたけれど 、 やっぱり悲しくて 。
俺らには幼馴染独特の距離がある 。
なんと言えばいいのかはわからないが 、
友達 、 親友とは違うような距離を感じている 。
だからこそ何かをすると翔太は照れる 。
他のメンバーとするときは何もないくせに 。
正直羨ましかった 。
普通に翔太と仲良くできることが 、 話せることが 、 隣に立てることが 。
別に俺らは不仲じゃない 。
でも俺はずっと寂しかった 。
ねぇ 、 わかってよ翔太 。
そう思いながら俺は今日も一人で遠くから、メンバーにもバレないように 、 翔太を見詰めていた 。
この感情が生まれる原因も全部わかってる 。
でも俺はそれを認めたくなかった 。
もうどうしたらいいんだろう 。
小さな声で 、 ため息をつきながらそう呟いた 。
それに気づいたメンバーが一人 、
ため息をついてる俺を不思議がって聞いてきてくれる 。
あぁ 、 仲間の存在ってこんなにもありがたいものなのだな と改めて感じる。
でも 、 これは阿部に伝えるべきじゃない 。
俺が 、 俺だけが抱え続けなくてはならないものだから 。
だからごめん 、 今回は嘘つくことを許してほしい 。
適当な言い訳をすると 、 阿部は
そう優しく声をかけてくれた 。
なんだか申し訳なく思いながらも 、その後は軽く世間話をして盛り上がった 。
それから撮影を終えて 、 各々が帰っていく 。
俺は楽屋に戻る前に最近優しくしてくださっているスタッフさんと少しお話をしてから楽屋に戻ったから 、 もうほとんどのメンバーは帰ったと思っていた 。
ゆっくりと楽屋にドアを開けて中に入ると 、 たった一人だけの人影があった 。
なんで ?
しかも俺を待ってたみたいな言い方、なんなんだよ 。
いつもはそんなことしないくせに 。
とりあえず平然を装う 。
貼り付けた笑顔を浮かべながら 、 俺は荷物を片付けていく 。
翔太はしばらく黙り込んでからゆっくりと口を開いた 。
さすが幼馴染といったところか 。
俺が阿部と話してたときに気付いていたんだろうな 。
でもこれは一番翔太には言えない 。
なんとかかわさないと 。
辛そう … そうか 、 俺辛そうなんだ 。
苦しそうなんだ 。
翔太にはそう見えてるんだ 。
せめて 、 翔太だけには笑顔で普通な俺が見えててほしかった 。
そう言い放って楽屋のドアノブを握ると 、 腕を掴まれた 。
そんなこと言わないでよ 。
翔太は強いよ 、 頼りなくなんてない 。
だからもうやめてよ 、 俺の気持ちが溢れ出るじゃないか 。
これが翔太にバレたら 、 苦しむのは翔太なのに 。
そう言ってそっと俺の体は翔太の胸元に引き寄せられた 。
心臓がうるさい 。 聞こえていないだろうか 。
もう何もかも考えられなくなっていた 。
思っていたことが次から次へと流れていく 。
終わったな と思いつつも自分の口を止められない 。
気づけば瞳から雫さえ流れ落ちてくる 。
翔太は静かに俺の背を撫でていた 。
俺がある程度落ち着くと 、 翔太はゆっくりと俺を離して言った 。
そういうと翔太は俺に少しずつ近づいて 、 気づけば唇が触れ合っていた 。
頭が今起きたことに追いついていない中 、 翔太はくすりと笑いながら俺を撫でた 。
その言葉を何度待ちわびたことか 。
何度想像したことか 。
何度夢見たことか 。
嬉しくてたまらなくて 、 すぐに返したくなった 。
そう告げて 、 俺らはそのまましばらくお互いのぬくもりを感じあった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。