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第1話

誘い
6
2026/02/18 16:03 更新
浅来 大輔
なぁ、知ってる?
大学の広場の椅子で、俺は背もたれに全体重をかけながら友人に話しかけた。
大八木 怜司
主語をしっかりとつけろ、文学部
浅来 大輔
ひどくね?
大八木 怜司
で、何だ?
浅来 大輔
隣町の20年前ぐらいに廃校になった中学校あるだろ?
浅来 大輔
そこ、出るらしいんだよ……金曜行かないか?
大八木 怜司
……廃校ってな、多分統廃合………
浅来 大輔
あーあー!マジレスやめろ!
大八木 怜司
……まぁいいか、スケッチに丁度いいしな
櫻井 茂樹
たっだいまー!
外から元気いっぱいの運動部、茂樹が走ってきた。
櫻井 茂樹
お前ら何話してんだよー、教えろよー!
浅来 大輔
丁度いいところに!
浅来 大輔
隣町の廃校に金曜、肝試し行こうって話してたんだ
櫻井 茂樹
………マジ?面白そうだな!
櫻井 茂樹
俺も行く!
浅来 大輔
茂樹は話が早いな、どこかの人とは違って……
俺は怜司のほうをチラッと見た。
大八木 怜司
………
──────金曜───────夜────────
月明かりの下、俺達は草の生い茂った校舎の門の前に集まった。
櫻井 茂樹
うわー!やっぱ夜の校舎ってテンション上がるなー!
大八木 怜司
雰囲気がいいな、こういうのなんて言うんだろうな……
浅来 大輔
乗り気じゃ無さそうだったのに結局ワクワクしてるじゃん
大八木 怜司
うるさいな
俺達は閉じている校門をよじ登り、校内に入った。
浅来 大輔
……これホラー映画だとナレーション入るヤツだな
櫻井 茂樹
まさか、あんなことが起こるとは……俺達はまだ知る由もなかった───
(棒読み)
浅来 大輔
やめろ!
大八木 怜司
ははっ……
少し歩くと、校舎の昇降口にたどり着いた。
扉は施錠されていなくて、半開きの状態だった。
櫻井 茂樹
これ、入れってことだよな
大八木 怜司
にしても……なんで施錠がされていなかったんだ?
怜司は考える仕草を見せた。
浅来 大輔
誰かが鍵壊して入ったんだろ
大八木 怜司
……
入ると、下駄箱に名前のシールが貼ったまま放置されていた。
櫻井 茂樹
………
いきなり、茂樹が足を止めて、固まった。
浅来 大輔
なんか発見した?
櫻井 茂樹
………い、いや?
大八木 怜司
なんか焦ってないか?
櫻井 茂樹
き、気のせい!んじゃ!早速探索開始!
大八木 怜司
こういう肝試しってどこから行くのが定石なんだ?
浅来 大輔
えー、知らない、教室とか?
櫻井 茂樹
じゃ、教室から行くか!
教室の扉を開けると、懐かしさを感じる机と黒板があった。
櫻井 茂樹
なっつ!
大八木 怜司
思ったより荒廃してないな、綺麗だ
櫻井 茂樹
黒板綺麗だな、なんか書く?
浅来 大輔
サークルの名前でも書いとく?
大八木 怜司
やめとけ、多分後で恥ずかしくなる
その後、俺達は理科室に向かった。
浅来 大輔
理科室と言えば……人体模型!定番だよな!
大八木 怜司
そうなのか?
櫻井 茂樹
当然当然!大体の怪談は人体模型襲ってくるから!
大八木 怜司
テンプレとかあるのか?
櫻井 茂樹
あるぜ!ピアノの音がするとか、ベートーベンがこっち見てくるとか…………
浅来 大輔
………
黒板に何かが書いてある。
浅来 大輔
なぁ、あれ、なんて書いてある?
櫻井 茂樹
ん?どれどれ?
茂樹がライトの光を黒板に当てる。そこには……
「きてくれた」とびっしりと書かれていた。
浅来 大輔
ぎゃああああっ!
俺は叫び声をあげて腰を抜かした。
櫻井 茂樹
……ぷっ、大輔ビビってやんの〜!
茂樹が一際大きい声で笑い、校舎に笑い声が響いた。
大八木 怜司
ホラー耐性なしか?いっつもホラー映画見てるのに……
浅来 大輔
安全圏で見るのと実体験は違うだろ〜!
櫻井 茂樹
あ〜、面白!動画撮っとけば良かった
真反対の校舎の2階に何か影のような物が見える。
浅来 大輔
まっ、待って……なんか見える……
櫻井 茂樹
怜司!動画の準備だ!
大八木 怜司
了解
怜司はスマホを横向きにして、こちらにレンズを向けた。
浅来 大輔
………見られてる
俺は視点をずらさずに言った。

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