あの屋上での出来事の後、
はんびなが伝えてくれた告白をきっかけに、
僕たちは付き合い、今は一緒に暮らしている
僕は大学のバイオリン講師
はんびなは高校の心理カウンセラー
数年前とは違う、それぞれの
「先生」としての日常がここにある
朝の光が差し込む玄関で、僕たちは
それぞれ異なるデザインのスーツや
バッグを手にしていた
僕はバイオリンケースのストラップを
肩にかけながら、少し楽しそうに微笑んだ
はんびなはそんな僕の襟元を優しく整え、
自分の通勤バッグを持ち直す
専門分野は違っても、誰かの心や技術を
育てる仕事の難しさとやりがいを、
誰よりも理解し合っている
だからこそ、僕たちの言葉には深い信頼が滲む
玄関のドアを開ける前、自然な動作で軽いキスを交わす
別々の場所で、別々の誰かのために力を尽くす日
けれど、夕方になれば同じ家に帰り、
お互いの1日を労い合える
そんな安心感を感じながら、
僕たちはそれぞれの職場へと足を踏み出した














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。