あなたはフォロを追いかけて、廊下を走っていた
しかしフォロが医務室を出ていってからかなり遅れて出たせいでどこに行ったのかも全く検討が付かない
息を切らしながら廊下を歩いていると、前から人が歩いてくる
廊下に居るというだけなのにピッタリと当てられた
心配そうにグリスはあなたの顔を見つめる
そう言ってあなたはフォロの部屋へと向かった
遠くなってゆく後ろ姿を見ながら、グリスはそう思った
廊下を走り、階段を駆け上がって、フォロの部屋に着く頃には息も絶え絶えになっていた
ノックをしようと手をドアに近づけるが、その手がまるで石像になったかのように止まる
コンコンコンと軽く叩くだけで良いのに、その扉は壁のように感じれて、フォロには届かないような気さえした
そんなことがふとあなたの頭をよぎる
ついさっきまでなんとかして話したかったのに、今は呼ぶことさえも億劫になってしまった
手を伸ばしたりしまったりしていると、突然ドアノブが回る
カチャ、と音が鳴ると同時に上を見上げるとバッチリと目を腫らしたフォロと目が合ってしまった
数秒沈黙が流れると
バタンッ
大きな音を立ててフォロは扉を閉め、鍵をかけてしまった
扉の向こうからは何の音もしなくなってしまった
辺りが再び静まり返る
フォロは部屋の奥へと頭をガシガシと掻きながら入って行く
心臓がバクバクとしていたのは落ち着き、代わりにズキズキと痛みがしみていくような気がして胸がきゅうっと締め付けられるような感覚に晒されていた
決意を固め、彼の名前を呼ぶ
彼女の自分を呼ぶ声はあまりにも弱々しく、震えているように感じた
本当に無かった。自分はあの瞬間まで一度も人器として使うことはできなかったから
そんなことは分かってる。だって今までずっと見てきたから。
誰よりも素直で、真っ直ぐで、そんなあなたが裏切るような子ではないことを。
どうやって謝れば良いのか分からない、ただひたすらにごめんと言うことしか私には出来ない
自分が情けない。あなたは1ミリも悪くない。それは自分自身が1番分かっている。さっき言ってしまったことも、今していることもただの八つ当たり。
胸の奥が物凄く痛い
部屋の奥からは何も聞こえない。相変わらず辺りは静寂に包まれている
静けさと、心臓の痛みがあなたの目に水溜まりを作り始め、それがボロボロと流れ出てゆく
廊下にはあなたのすすり泣く声と、必死にその声を抑えようと漏れ出る嗚咽が響いていた
カチャン
小さく鍵の回る音がすると、ゆっくりとドアが空く
あなたが見上げると、そこには自分と同じように目に涙を浮かべたフォロが立っていた
自分よりも涙をボロボロと流しながら苦しそうにそう言うフォロを見て、あなたの喉がキュっと締め付けられる
フォロの横で握りしめられている拳にゆっくりと手を伸ばし、そっと握る
すると、力の入っていたフォロの手は少しだけ緩んだ
そうして2人はベンチのある外の広場へ向かった
2人で並んで座るベンチの間には少しだけ隙間があって、
その隙間は2人の心の距離を表すようだった
暫く沈黙が続いていたが、フォロがゆっくりと口を開く
そう言うフォロの顔は歪んでいて、唇を噛み締めていた
前を向いて話していたフォロがこちらを向いて話す
フォロの目を見て力強く言う
さっきまで暗かったフォロの顔から笑みがこぼれる
満面の笑みであなたは提案する。そんな言葉とあなたの笑顔にあてられて不思議と顔が緩む
ゆーびきった!
いつか
倒すだけじゃなくて
守れるように












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。