あんな高所から落ちて、無事なはずがない。漣さんは…
しかも、この後ユナの処刑が行われる。
あたしは、思わずユナに抱きついた。
やっとその言葉がのどを通った。
でも、細いかすれた声だった。
ユナが笑って手を抱る。
あったかくて、やわらかくて、ぼーっとした感じ…
ぱっとストレートな言葉が返ってきた。
想像はできて、でも、一番、意外だった答え。
もしかしてだけどユナはずっとずっと死を覚悟していたんだ。
いつ死んでも「幸せだった」と言えて、安らかに逝けるように。
笑顔は人を明るくする。
でも、内田のような汚い笑顔が増え続けている。
そんな中、ユナは真実の笑顔を知れたんだ……。
そして、真実の笑顔をみんなに教えてくれた。
綾子ちゃんも、海崎も、名月も、真剣にユナの言葉を聞き、笑顔を見ている。
ユナの身体がすーっと消えかかった。
最期の笑顔は、ユナと共に消え去った…
あれ?これ、しゃぼん玉…?
ここは…?
ピンク色で、雲や蛇もあって、ユニコーンカケサランパサランがたくさんいる。
その向こうに…
みんながいた。
笑って手を振っている。
私もそっちへ連れて行って!
グサッ
うそ、何これ?
全身に、やり?
私、もう死ぬんんだなぁ…
ドロリと血を吐いた。
ピンク色の景色が白色と混ざってぐわんとなる。
綾子ちゃん、聖那くん、海崎、そして佳希。
わたし みんなの役に…たてたかな…。
さようならー
ユナが動かなくなった。
そのとたん、大粒の涙がボロボロと零れてしまった。
七瀬さんのも、日和ちゃんのも、玖遠のも、漣さんのもたえたのに。
ユナの処刑でだけ、泣いた。
でも、これで殺し合いは終わる。
だって、黒幕は、2人処刑を申し出たら殺し合いを終わらせると言っていたから。
もう泣いていいんだ…
玖遠、漣さん、そしてユナ。
今、おわったよ、
叫び声がした。
…名月?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。