紫side
幻覚と思われるそれは、空が夕日の色に染まるまで、認められなかった
儚い笑顔を見せて、髪の毛が風に靡いて
美しかった
やらないといけない事は1つ
らんに、会いに行くだけ
カバンを持って、屋上の扉を開けて
急いで階段をおりて、靴に履き替えた
走り始めた
どこに行きたいのか、どこに着くべきか分からない
だって、らんの事、知ろうとしなかったから
けど、足が勝手に動いた
運命、とか、奇跡、とかって言葉
俺は全然信じていないし、そんなものないと思ってる
だけど、この走っている間の一瞬だけ
信じてみてもいいのかな、って思った
久しぶりに走って、息が足りなくなると
少しだけらんの事を心の中で責めた
もっと、言ってくれても良かったのに
俺だって、らんの支えになりたかった
らんの温もりに浸っていると、らんはゆっくり口を開けて言った












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。