紫side
らんが来ない
朝音楽室に来て、らんがまだ来ていない事を知り、またお昼くらいに来るかなと思ってピアノを練習していた
そして、もう放課後
約束したのに
来なかった
怒ってはいない
ただ、心配だった
友達が学校を休んだ時、その友達の家に会いに行くのが主流だと思っていた
だけど、俺は結局らんの事を知ったつもりで全然知らなかった
音楽室へ来ていた理由も、家も、連絡先も、クラスでさえ
何も、分かろうとしなかった
その事実に自分自身で腹が立ち
ものすごい恐怖に襲われた
あー、らんがいないと、俺は無理なんだ
らんがいないと、俺は死んでたんだ
もう一度、屋上へ行った
もういいよ
十分頑張ったでしょ
お願いだから、好きにさせてよ
お願いだから、死なせてよ
フェンスに手をかけた時にらんが来た
会いたかった人が目の前にいて
嬉しかった
フリックにかけた手を下ろして
らんに会いに行った
意味深な言葉を放った
俺はらんに抱きつきたかったけど
手を伸ばした瞬間、それは消えた
探しでどこにもいない
幻覚だった
自分が、信用出来なくなってきた
らんに、会いたい
ただ、それだけだった












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。