第45話

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2024/08/11 09:00 更新
「あの日、あなたちゃんが引っ越すって言った時すごくショックだった。もうあの楽しい時間を過ごせないのかって。会社で辛い思いしてるって聞いて、どうにか力になりたいと思ったし俺が絶対に守りたいって思ったんだよ」 



何か言わなきゃと思うのに


私を見つめる涼太くんの真剣な目に言葉が出なくて


夢か現実か分からないようなふわふわした感覚に身を任せる




「あの男に腕を掴まれたあなたちゃんを見た時は怒りで手が震えたね。もう…ただのお隣さんとしてじゃなくて、1人の男としてあなたちゃんを守りたいと心から思ったんだよ」



頬に添えられた手は私の頬を撫でて


いつの間にか溢れていた涙を優しく拭ってくれていた


その手に自分のをそっと重ねると、その手ごと包みこまれる





「初めて会ったあの夜から、いつもあなたちゃんのことを想ってる。どうかこれからは貴女の隣で、ずっとその笑顔を守らせていただけませんか」



『っ…それって…』




目の前が滲む


涼太くんの顔をしっかり見たいのに、溢れる涙は止まることを知らない





「好きだよ。俺の彼女になってください」





胸が苦しいくらいに締め付けられる



だけどそれ以上に温かいものが全身にぶわっと広がった



こんなことって、こんなことって





『私もっ…涼太くんに、会えない夜はつまらなかったし、寂しかった。ベランダは、いつしか涼太くんに会うための場所に変わってたの』




しゃくり上げながら、何とかゆっくり言葉にするのを涼太くんは黙って聞いてくれる




『最初は、お上品なかっこいいお兄さんとしか思ってなかったけど…私の話を聞いてくれる優しい声も、笑った時の顔も、私のために怒ってくれた涼太くんも…気がつけば全部が私の特別で。アイドルだって知る前から、とっくに私は涼太くんの虜だったみたい』




いつしか止まった涙で視界ははっきりとしてきて


涼太くんの少し赤い目と頬と、いつものように少し開いた唇に愛おしさが溢れてくる




「…あなた」




『こんなに幸せなことあっていいのかな。夢みたい、だって…』




言い終わる前に近づいてきた涼太くんの唇で、その先の言葉は出口を失ってしまった



背中と頭に回された腕の温もりを感じて私はそっと目を閉じるのだった



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