どのくらいの時間が経ったのだろうか
静かな車内で思わずうとうとしてしまっていた頃に、突然車のドアが開いて腕を掴まれて降ろされた
英「…いっ…た」
建物の中に入った後に腕を離されてドサっと尻餅をついたのは、少し硬い椅子のような物で
そこで漸く目隠しを取られた
英「っ…」
暗闇にずっといたから光がやけに眩しく感じて
警戒しながら目を細めて周りを見てみると、何やらここはシンプルな部屋の中のようで
目の前には見知った顔が驚いた表情で自分を見ていた
萌「英二さん…!!よかった!萌果昨日からずっとここの部屋に閉じ込められてて…!」
英「は、え、萌果…?お前マンションに帰ってたんじゃなかったのか?」
テーブルの向こうに座る萌果は、確かに昨日のヘアメイクのままだった
顔は疲労が見えるが、普通に元気そうではある
萌「マンションの前でいきなり車に乗せられて、気づいたらここに…」
英「おいおい…何なんだよ、俺たちに何がしたいんだ」
その時、周りに居た数人の男たちが急に下がった
「よかったね。これから2人はずっと一緒だよ」
声のした方を振り向くと、あいつが不気味なくらい爽やかな笑顔で部屋に入ってきた
英「一緒って…」
「君たちまだ籍入れてないだろ?はい、これ」
机にひらっと置かれたのは、所謂婚姻届で
ボールペンを目の前に置かれてやっとさっきの言葉の意味を理解した
英「いや、何でここで書かなきゃいけないんだよ!それに親父から結婚の話は白紙だって言われてて…」
萌「そうですよ!英二さん勘当されかけてるし…そんな状態の人と結婚したくないです!」
英「は?!俺だってお前みたいな阿婆擦れ女なんか無理だわ!」
思わず声を荒げると、目の前の机がバン!と強く叩かれた
「うるさいな…ギャーギャー騒がないでくれる?これ書けば夫婦になれるんだから、感謝して欲しいくらいだよ。それとも、書かずにずっとこのままでいるつもりかな」
そう言われて両腕を固定している手錠を改めてまじまじと見た
到底自分の力では解けそうにもない
英「…俺たちにこれを書かせる為にわざわざ連れてきたのか。お前に何のメリットがあるんだよ」
自分たちが置かれている状況に頭が追いつかなくて、答えを求めてやつの顔を見上げたが
黒縁眼鏡の奥に見える目は鋭く細められていて、意味ありげに笑っているだけだった








![⛄💜17時のスイッチ[完結]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/EOkNL2MhxNOnLeVbLBmpGszqo363/cover/01KDMET6R8CVT70D1RTK9AKTAJ_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。