⚠️付き合いたて 🐑さん視点
放課後、空が急に暗くなった。
さっきまで眩しいくらいに晴れていたのに、雲が厚く重なり合い、雷が遠くで鳴り響く。
そして一瞬で、大粒の雨が降り出した。
慌てて近くの商店街の軒下に駆け込み、僕は胸を押さえて息を整える。
人通りはまばらで、雨音だけが耳に残る。
その時だった。
声の主を振り向いた瞬間、胸が高鳴る。
濡れた髪をかきあげ、肩で息をしているのは——。
さらりとチャラい台詞を口にして、彼は笑う。
でも、その瞳は不思議なくらい真剣で、冗談には聞こえなかった。
ギターケースを抱えたまま彼は軒下に腰を下ろす。
彼は濡れたケースを開け、タオルで軽く拭きながらギターを取り出す。
そして、雨音に重ねるように、静かに弦を鳴らした。
雨粒が地面を叩く音と、彼の指先から紡がれるメロディ。
それはまるで、雨宿りのひとときにだけ許された秘密のコンサートだった。
彼は笑いながら視線を向けてくる。
僕は胸の鼓動を抑えられずに、ただ黙って聴き入った。
曲が終わっても、雨はまだ強く降り続いていた。
けれど、不思議とその音さえ心地よく聞こえる。
差し伸べられた手は少し冷たかったけれど、しっかりとした力で包み込んでくれる。
その温もりに触れた瞬間、心まで雨に濡らされたようにざわめいた。
僕は頷き、🎸さんの手を握り返す。
雨の音が二人の鼓動を隠すように響き渡り、ただ歩き出す背中を照らすように街灯が揺れていた。
——雨宿りの時間は短かったはずなのに、僕らの距離は確かに縮まっていた気がした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!