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第1話

プロローグ
5
2025/08/22 09:02 更新
「廻」──それは、
妖怪、獣人、サイボーグ、そして神格にまで至る“人ならざる者”が、闇と光の狭間を跋扈する街。

魔術、呪術、逸脱した化学、説明不能の超常現象……。
それら禁断の力を独占し、支配する巨大企業が乱立し、
互いを食い合うように抗争を繰り返す。

企業は優位を保つため、己の牙として「スパイ」を雇う。
目的はただ一つ──他者を蹴落とし、頂点を奪い取ること。

そして今、
その街の片隅に生きる、一人の少年の物語が幕を開ける──。












???
ふぁあぁ...今日も平和だ...
視界の中に警察専用外部強化型戦闘用装甲ポリアーマーを着た警察が7人ほどいるだとか、

銃を乱射してる暴動の犯人がいるのとか、周りには異形の怪物だとかロボットだとか、

空には謎の飛んでるミミズだとか浮いてるだけの鉄塊とかがあるけど...
???
実に..今日も実に平和だな
「廻」マワリこの街の名前

僕はひょんなことからこの街で暮らしている

この街は控えめに言ってもおかしい。
ここにこれば世界中で議論されている「おかしい」の8割は目にすることができるだろう

これはそんなおかしい街で普通に生きる僕の日記のようなものだ









レイナ
..お!よぉリツ!元気にやってるか?
リツ
レイナさん!そりゃあもちろん!このとおり4割ばっちりさ
レイナ
それはばっちりとは言わないんだよ!
リツ
はは。とりあえず、いつものセットたのむよ
レイナ
あいよぉチーズバーガーチーズ増量ピクルス抜き、メロンソーダにポテトはコンソメね~




ほらね。意外とこの街もふつうだ

ふつうに歩けるしふつうに話せる、ふつうに考えられるしふつうにバーガーセットを頼むことができる

ただちょっと、ちょっとばかしわからないものが多いだけ





レイナ
にしてもさいきん多いなー乱射事件
リツ
まぁ目に見えて増えてはいるけど、この街の風物詩みたいなもんでしょ
レイナ
だとおもうだろ?でもこの間犯人が持ってた銃、やばかったんだよな
リツ
どんな銃だったのさ
レイナ
プラズマ弾倉型のエネルギーガンだったらしいぜ
リツ
あの最低1回は物体を何でもかんでも貫通するとかいう?

そのへんのチンピラもそんなものを持つようになったのか...
レイナ
この街もオワリカモナー
リツ
終わりといえば、この辺もだいぶ片付いてきたよなぁ~
レイナ
あの頃はほんとにこの街が終わるんじゃないかとおもってたよw




16年前、この街を揺るがす大きな事件が発生した

とある企業が保有していた半神の魔獣が暴走。その企業と提携を結んでいた特別なスパイが2名出動

その結果、廻第3・4市のほとんどの地域が壊滅的な被害を被った

さらに出動した2名は魔獣と相打ちに、街全体で見てもとんでもない被害が今いるバーガー屋周辺でおきたのだ




リツ
感慨深いねぇ...あれからもう15年以上たつのか
レイナ
おまえさんは子供だったから大変だったろうねぇ

たしか1...



その時だった



ガシャァァァアアアン...という轟音と共にポリアーマーがこっちに向かって突っ込んでくる


3メートル弱の合金の塊だ。ぶつかったら確実に死ぬだろう
リツ
やばっ..!



ガッキィィンンン...






目の前で止まった塊と人影が一つ






リツ
はえ.?
???
大丈夫かい?少年!


顔をあげると、ポリアーマーを刀..?で止めてる女の子がいた

綺麗な青緑の髪と目が光る、いわゆる美形の子だった

???
ほらさっさと立った立った
リツ
あ、ありがとう..
???
...ん?君の目、色が入ってるね
リツ
ほへ?色?それっt
???
おいリヴィ!!こっちも手伝ってくれや


機械声帯から発される独特の声が聞こえる

???
おっと!それじゃあ少年!またね・・・
リツ
あっちょっとまって!
レイナ
いいからリツ!早く避難するよ!
リツ
え..あ、うん..!















避難所にて




レイナ
例のチンピラどもをまとめてた連中が、この辺の警察と全面戦争だってさ
レイナ
まったく面倒なもんだよな!人の往来の多いところでおっぱじめやがって..
レイナ
...っておーい?聞いてるかー?
リツ
あの人...
レイナ
助けてくれた女の子か?かわいかったよなぁ
リツ
.......
レイナ
だいじょうぶか?頭でも打ったか~?
リツ
ごめんレイナさん!僕いかないと
レイナ
えっ!?はっおいちょっとまて!









避難所の出口を抜けた

街はかろうじて形を保っているものの、目に見える大半の建物が壊れている








リツ
はぁ..はぁ...
リツ
くそっどこにいった!?がれきと粉塵で方向が...!




パァン...




リツ
あっちか!!


僕はそのへんで倒れてたチンピラから拳銃を抜き取った









???
くそったれ..!まさかこんな切り札を隠してたなんて...
???
動作停止パスワード知ってるやつもさっきやっちゃったしねぇ..
???
まぁでもとりあえず...










???
ぶっとばすでいいんじゃないかな!












リツ
(いた!さっきの人たちと...)

目線の先にはさっきの人たちと丸い大きなロボット

直径は4メートルほどあるだろうか。球体でところどころからアームが生えている


リツ
(甲型戦闘用機構:Qの高機動タイプ!?なんでこんなところに!)
???
およ?さっきの少年じゃん!
リツ
(やっべバレたぁぁああ....)
???
ちょうどいいや手伝ってよ!



レーザーをよけながら彼女は言う



リツ
手伝うったって何をですか!?
???
もちろんこいつの討伐だよ!こいつ呪術かなんかつけられてて攻撃が通らないんだよね!
???
あいにく今の僕の武器じゃ呪術対策は無理だし!



ミサイルがこっちに飛んでくる



???
やばっシディカバーよろ!



その瞬間、黄色のジャケットが妙に似合う1つ目のロボットに抱きかかえられ、僕は宙を舞った


???
リヴィ..こんながきんちょがなんになるってんでい
リツ
あ、ありがとう..!
???
見たところまともな装備もねえし..ん?なんだ鉄砲は持ってんのか
リツ
これ?これはさっき拾って..
リツ
あ!!
???
もしかしてなんか思いついた~?
リツ
あいつのコアって何処にありますか!?
???
目みたいに見えるセンサーわかるか?あれの真下だな
???
だがそれを覆う外殻に呪術防壁がかけられててこっちの攻撃が効きやしねえ
リツ
つまり物質で防御してるんですよね
???
それはそうなんだが...



青緑の人が攻撃していた箇所からアームが増設されていく



???
どちらにせよ早くしないとジリ貧だね!!
リツ
じゃあ今やります!
???
へ!?でもどうやって



言い終わる前に









リツ
縮小転移シフト












ドンッ..バチバチ



発砲音と共にロボットが動きを停止した

???
ほんとに止まってるぞ..!!
???
すごいすごい!!どうやったの?
リツ
これですよ!



僕は拳銃からマガジンを引き抜く

淡く水色の光を放っていた


???
プラズマ弾倉...だから貫通できたんか!
???
それにしてもすごいね!弾道が見えなかったよ!どういう技なの!?ねぇねぇ!
???
こらこら
リツ
えーと..それより話が...
















???
「色」?ああ、見えるね!君の目の中にギラっと
リツ
やっぱり色がわかるんですね
???
ふぅ~ん...白だね。目の中に白い炎が見える
???
なんでがきんちょが「色」のことを知ってるかは聞かないが...

知ってるなら、この街で色がどんな意味を持つかはわかるよな
リツ
はい。だから聞きに来たんです



この街で「色」が付くモノは特別な力をもつ

その力は多種多様で生き物だけでなく物体にも宿ることがあるのだ

そんな色を視ることができる人たちが一定数存在する



???
色持ちの子は保護しなきゃいけないんだよねぇ...

少年はどうしたい?僕たちに連れていかれたい?
リツ
...おねがいします!知らなきゃいけないことがあるんです!
???
ずいぶん思い切りがいいな!じゃあさっそくヴォルフ・インダストリーさんとこに..
???
いや



青緑い人が黄色のジャケットの人に耳打ちした



???
少年は僕たちで預かろう
???
なんでだ!俺たちだって生活がな...!!
???
この街で白はかなり..だいぶ..とっても..すごく珍しい
???
それに咄嗟の判断、コミニュケーション力。申し分ない
???
あとはそうだね...勘かな
???
はぁ..リヴィのそういうとこ嫌いじゃないぜ







リツ
あの...?お話はおわりました..?
???
あーごめんごめん!君をどこに提出するか話してたんだけど...
???
運がいいな。俺たちで預かることにしたぞ
リツ
いいんですか!!えっと..
シディ
俺ぁグラゴレアス・シュドーレン。知り合いはシディって呼ぶぜ
リツ
よろしくお願いします!シディ!
シディ
いい子だ!特別にタメでいいぞ!
リヴィ
僕はリヴィ。アーシェ=リヴィア
リツ
よろしく!リヴィ
リヴィ
少年はなんていうんだい?
リツ
まだ言ってなかったっけ。僕は...






レイナ
リツ!!!!!






リツ
ッ!!レイナさん!?
レイナ
なにやってんの!はやく戻るよ!
リツ
ごめんレイナさん...僕この人たちについていくよ
レイナ
はぁ!?
リツ
重ねてごめん..僕今までずっと嘘ついてた











リツ
僕には16年前の都市災害から前の記憶がない
リツ
そして今までこの街で過ごしてきた16年間、肉体年齢が進んでいない











レイナ
んなっ..!!
リヴィ
フゥン...


なにか面白そうに、考えるようにリヴィアが顎に手を添える


リツ
自分がなんでこの街にいるのかとか、どこの生まれだとか、知りたいことがたくさんなんだ
リツ
せっかくつかんだチャンスを。逃したくない



レイナ
はぁ...



レイナさんは悩んでいるような泣きそうなような顔で空を見上げた

今日もこの街は白みがかった分厚い雲と霧で覆われている



レイナ
それは、嘘じゃないんだな


目を合わせたまま頷く

レイナ
...また会えるよな?
リツ
たまに食べにくるよ

声が震える

無理もない。嘘をついていたとはいえ16年の付き合いなのだ


..遠くで警察車両のサイレンが聞こえる

リヴィ
..今生のお別れになるかもしれないところ悪いが、そろそろ行かないとだな


二人はぴょんと近くの建物の屋上までとんだ

遠くで光るビルがまぶしい

シディ
こいつぁ俺たちが責任をもって預かるぜ
リヴィ
いくぞ!!少年!!
リツ
..じゃあいってきます!!
レイナ
おう!がんばってこいよ!

ピョーン

リヴィ
おお..やるな少年


3人は夜の闇に姿を消した







前言を撤回しよう

これはこのおかしな街で生きる僕の、ちょっぴり特別な。日記のようなものだ




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