第66話

失いかた.
1,999
2021/11/03 02:04



___【過去編 竜胆】 side



竜胆
ごめん…



最初に出てきたのはその言葉だった。


きっと痛いだろうし、怖いだろうし
でもそんな目に遭ったのはオレらのせいだから。


最初は細く開いてた目が徐々に大きく見開き
ゆらゆらと揺らしていく。


今までで見たことの無い目だ。

原因はすぐに分かった。







___________オレに怯えてるんだ.





竜胆
もう少し…我慢して…。ごめん…。



優しくそう言えば彼女は弱々しく首を横に振る。




それだけ酷い目に遭えば、本能的に体が勝手に動く。
あなたは自分に起こってる状況に混乱してる。






でもきっと、いずれ気持ちが行動に追いつくから
オレのことが嫌になるのも時間の問題だよな。



you
you
りん…ど
you
you
りん…ど…りんど
竜胆
喋らなくていいから…ッ



辛そうにオレを呼ぶ彼女にそう言うが
紡がれる言葉は止まらない。



でも、それ以上喋ったら…死ぬだろうが…。


you
you
愛し…てるから…追い詰め…ないで



あなたは優しすぎるから、
そうやってオレを想ってくれる。


でもオマエの身体はもうオレを受け入れないんだよ。



オレは、自分が近づくことによって
オマエを壊したくない。


今のあなたはオレが近づいても壊れちゃうから…。



竜胆
無理して言うな。



そう言うと彼女は絶望したような眼差しで
オレを見た後意識を手放した。



ああ、オレ…今最低なこと言ったんだ。



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