家が近く、互いの両親の仲も良い私とあなたの幼馴染の男の子は、幼い時からよく一緒に遊んだ。
小学校や中学校はもちろん、高校も同じところを受験した。
めでたく二人とも合格し、今こうして通っている。彼とは相当長い付き合いだ。
喧嘩するほど仲が良いとは言ったものだが、十数年の人生の中で彼と喧嘩になったことは数える程しかなかった。
信号待ちの間、街路樹として植えられた桜の木を見るともなしに見ていると、
薄桃色の花弁が私の目の前ではらりと落ちた。
桜を見ると、新しい生活が始まったのだと実感させられる。
まだ入学して間もないけれど、少し先には楽しい高校生活を過ごしている自分がいるのだと思うと、自然と頬が緩んだ。
いつの間にか変わっていた信号を見て、私たちはまた歩きだした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。