始業式が終わり、生徒たちは整然と体育館を出ていった。
ざわつきはあるけれど、浮ついた空気感はない。
この学校では、新学期という言葉に期待を抱く生徒は少ない。
私も中也と一緒に体育館を出て、クラス分けを見るために、校舎に入る。
人多、、、。
掲示板の前に人だかりができていたのだ。
私達はその隙間から、文字を追う。
この学校は一学年五組制。
S組、A組、B組、C組、D組。
技術、能力、精神状態、忠誠心――
すべてを数値化した結果が、そのままクラスになる。
各組約四十人。
全校生徒は六百人ほど。
その中で、S組に入れるのは「使える存在」だけだ。
私の名前は、上の方に。
S組 4番 円地 あなたの下の名前
わかってはいたものの、少しだけ胸を撫で下ろす。
すると、隣で中也が小さく鼻を鳴らす。
中也はともかく、ただ、当然の結果として受け入れておこう。
その時、背後から間延びした声がした。
いつの間にか背後に立っていた太宰が、私の肩に手を乗せる。
勿論、太宰に肩を触られるなんて、Gを触るくらい嫌なので、即座に払い除ける。
中也が露骨に嫌そうな顔をする。
わかるよ、中也。そんな顔もしたくなるよね。
この時点で、嫌な予感しかしない。
二人が言い合いを始めるのは、いつもこうだ。
どちらか一方が挑発し、どちらか一方がムキになる。
いつもなら無視しているのだが、今日はそうはいかない。
なんてったって掲示板の前だ。
こんなところで、喧嘩をしてみろ。めんどくさいったらありゃしない。
痺れを切らして、二人の間に割って入り、教室へと歩き出す。
どうせ止めても無駄なのだ。かえって、怪我をする。
なら、私が二人を誘導すればいい。
背後で始まる、いつものやり取り。
些細な言葉尻を拾っては、火花を散らす。
一年前、入学した頃からずっとだ。
性格が合わないなんて、生易しいものじゃない。
だけど、不思議と、相性が悪いとは思わないのだ。
私は溜息をつくことすらもやめて、無言で廊下を進む。
二人が着いてきているかなんて確認しない。
どうせ、最終的には着いてくるのだから。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!