前の話
一覧へ
次の話

第25話

初対面。あるいは、再会(?) 〈4〉
33
2026/02/27 23:56 更新

救沢 モル
救沢 モル
…あ、さっき転んでた…

いきなり、そう声をかけられた。
ちょっと急にそれは失礼じゃないかなぁ!?


その子はどうやら、救沢モルちゃんと言うらしい。

薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
モルちゃんは、誰かと知り合いなの?

そう聞けば、彼女は少し迷ったように視線を彷徨わせてから、一方に視線を向けた。

救沢 モル
救沢 モル
今は、一方的に知ってるだけ、なんだろうけど。

視線の先にいたのは、二人組。…その内の片方は、知ってる子だ。
視線に気がついたのか、その子たちはこちらに近付いてきた。

恋珊瑚 クリオネ
わたくしたちになにか御用でしょうか?
救沢 モル
救沢 モル
…えと、そうじゃなくて。
薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
えっとね、この子と知り合いはいる?って話をしてたんだ。

そんな話をすれば、彼女たちはなるほど、と頷いた。

真珠ヶ淵 マシラ
ワタシは真珠ヶ淵マシラよ。
恋珊瑚 クリオネ
恋珊瑚クリオネと申します。…あなた方は?

女の子─クリオネちゃんの言葉に、わたしたちは顔を見合わせる。どっちから自己紹介する?え?わたしから?うん、わかったよ!

薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
わたしは薫衣草ウズラだよ!よろしくねっ!あ、マシラちゃんのことは知ってて…あとは、カラスの幼なじみだよ!

最後の言葉に、マシラちゃんは一瞬固まった。

真珠ヶ淵 マシラ
正気??
薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
正気だよ!?
真珠ヶ淵 マシラ
…よくあんな男の幼なじみなんてできるわね…

それはそう。
次に視線を向けられたモルちゃんは、少し気まずそうにすい、と目を逸らした。

救沢 モル
救沢 モル
…救沢モル。…一応、シスターの家系に生まれた、けど…、…いや、なんでもない。
薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
救沢 モル
救沢 モル
…クリオネさん、は。

名前を呼ばれたクリオネちゃんが、不思議そうに首を傾げる。花嫁のようなショートベールが、ひらりと揺れた。

救沢 モル
救沢 モル
…君も。全人類を幸福にする願い、持ってるの?

クリオネちゃんは、一瞬きょとりとした表情をしたあと、その顔をふわりとほころばせる。

恋珊瑚 クリオネ
ええ、もちろんです。…わたくしも、ということは…そちらのわたくしも、持っているのですね?
救沢 モル
救沢 モル
うん。…どうして?

モルちゃんの黄緑色の目が、クリオネちゃんを捉える。

救沢 モル
救沢 モル
反対する人なんて、いっぱいいるでしょ。…僕だって、全人類が幸せになる価値なんてないと思ってる。
恋珊瑚 クリオネ
…確かにそうかもしれません。

クリオネちゃんが頷いたことに、モルちゃんは驚いたような顔を見せる。
けど、その後に続いた言葉に、思わず唖然とした。

恋珊瑚 クリオネ
ですから、わたくしが人類を支配するのです。
救沢 モル
救沢 モル
…え??
恋珊瑚 クリオネ
わたくしが、人類を導くのです。幸せにする価値のある生き物に。きっと、そちらのわたくしもいつかはわたくしと同じように挫折し、そして、同じ結論を出すでしょう。

全員が、唖然としていた。

薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
…えーと、その、…ちょっといい、かな…?
恋珊瑚 クリオネ
? なんでしょうか、薫衣草様。質問ならいつでも受け付けますが…
薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
…えーと、質問?というか、うーん、質問なんだけど…
薫衣草 ウズラ
薫衣草 ウズラ
…さっきから、なんの話してるの…?
救沢 モル
救沢 モル
え?
真珠ヶ淵 マシラ
恋珊瑚 クリオネ
あら…

ちょっと三人ともそんな目で見ないで!?

プリ小説オーディオドラマ