以前書いた『ウィーズリー家は今日も大騒ぎ』の別の話となります。投稿作品が連続してほのぼの日常系ですが、お楽しみいただけると幸いです𓈒𓏸𓐍
▼▼▼以前書いたお話はこちらになります▼▼▼
※ 本作品にはビルやチャーリーが出てきますが、作者の知識不足の為、口調等が迷子になっております。申し訳ありません。
※いつもの小説より内容が少々長くなっています。
昼下がりの中庭。ハリーを初めとする複数の生徒に囲まれるあなたは、その真ん中でニヤリと笑い、自身が仕掛けた悪戯の話を楽しげに語り始めた。
その内容は、ホグワーツの歴史を遡る限り"最も最悪"な悪戯であり、教師達が思い出す度に頭を抱えてしまう程のものだった。
薄暗く、誰も近寄る事がない女子トイレ。
ここ1ヶ月程、私は秘密裏にそこへ出入りしていた。
その理由は1つ。ハロウィンの準備をするため。
魔法薬学の教室と、警備が未だに手薄なスネイプの倉庫から失敬した 大鍋と数種類の薬草、それと瓶。
これらを誰にもバレぬようにトイレに運び込むのは本来なら至難の業だろうが、私にかかれば容易い事だった。
だけど大変だったのは、材料を運び込んだ後。
私が作ろうとしていた魔法薬は、"本来の力"を発揮するだけでも作るのに相当な時間を有する。それに改良を加えるのだから、難しくない訳が無い。
新学期が始まってから直ぐに作り始めたが、失敗作を幾つトイレに流し込んだか分からないくらいだった。
ハロウィン当日になった今日でさえ、今朝から2回は調合に失敗してる。そろそろ、鍋から訳の分からない物体が出てくるのも見飽きてきた。
半ば諦めて、他の悪戯に変更しようと考えていた矢先…僅かな煙を揺らす鍋の中を覗き込み、色の変化を眺めていた私は、待ち望んだ魔法薬の完成を確信し、思わず嬉々とした声を上げ、ガッツポーズをした。
何かを実験台に、効果を試している暇はもう無いが、予想していた出来具合と変わらないのだから、殆ど成功と言っていいだろう。
あまりの嬉しさと達成感に、小躍りでもしてしまいそうな程舞い上がっていると「ここにいたのか」と聞き慣れた声が後ろから聞こえ、私は思わず表情を歪めた。
振り返った先にいたのは、私と同じ燃えるような赤毛を持つ、ウィーズリー家の長男。1学年上の兄であり、グリフィンドール寮の監督生を担う、ビルだった。
私がそう言うと、どうやら図星だったらしく ビルは若干控えめな笑みを浮かべ、私から視線を逸らした。
ハロウィンに、悪戯好きな妹の元へ監督生の兄が来る。この状況なら、ホグワーツにいる誰が見ても ビルがここに来た理由に検討がつくはずだ。
作り上げた魔法薬を瓶に詰めながら、私は嫌味っぽくビルにそう言い放った。するとビルは「あぁ、マクゴナガル"先生"が不安がってた」と言いながら、未だに煙の消えない鍋の中を覗き込んできた。
そして、鍋の中で煮られる液体を目にした瞬間、ビルは一瞬表情を歪め、直ぐに私へと視線を向けた。
ビルの言葉を適当にあしらいながら、私は淡々と魔法薬を幾つかの瓶へと入れ替え、それを箱へと詰め始めた。
だけど、ビルは監督生の仕事を全うするべく「ダメだ、あなた」と忙しなく動く私の腕を優しくもしっかりと掴み止めた。
去年のハロウィンの光景を思い出し、私が思わず頬を綻ばせていると、ビルはやけに真剣な顔で「あなた…」と私の名前を呼び、真っ直ぐな視線を私へ向けた。
ビルは、本当に私の事を心配しているようで、真剣さの中に不安感を混ぜた様な、そんな表情を浮かべていた。
監督生としての自分の評価や寮のことよりも、問題児である妹の退校処分を心配するなんて…私の兄は何処まで妹思いなのだろうか。
ビルがここまで心配してくれてるんだ。なら、今年の悪戯は諦めよう………なんて、素直に思う訳もなく、私は平然と口を開き、ビルの目を真っ直ぐ見つめた。
最後の頼みの綱。と言わんばかりにビルは小さくため息を零してから、ママの事を口にした。正直、ママが怖くないと言ったら嘘になる。
だけど、吠えメールが届くのは日常茶飯事過ぎて、私にとっては踏み止まる材料にすらならなかった。
私からの返事を聞くと、ビルは呆れたように再びため息をこぼし、困り顔を見せた。
ビルは、諦めたように若干呆れた笑みを浮かべてから私に向かってそう言った。
もう少し引き止められると思っていたが、意外と早く折れたビルに対し、私はほんの少し目を見開いた。
そして「ありがとう、ビル」と微笑んでから、ビルへ軽くハグをし、魔法薬が数個詰められた箱を腕に抱えた。
背後から、ビルの一際大きなため息が聞こえる中で、私は逃げるように2階の女子トイレを後にした。
悪い事したかな…?なんて、僅かに罪悪感も抱いたが、今から実行する悪戯の事を考え始めた頃には、抱いたはずの罪悪感もどこかへ消え去っていた。
私は、フィルチの目を掻い潜りながら幾つかの抜け道を通り、地下にある使われていない教室へ1度魔法薬を隠し、そのままの足で厨房へ向かった。
厨房にいる屋敷しもべ妖精達は、私の良き悪戯仲間だ。
と言っても彼らの殆どは、特に理由もなく無条件に協力してくれているだけだろうけど。
そんな彼らへ、私はハロウィンの食事の他に"小さめのマフィン"を作ってくれないか?とお願いした。
すると、例の如く「もちろんです」と了承してくれ、彼らは驚く程の速さでマフィンを作り終えたのだった。
屋敷しもべ妖精達にお礼を告げた私は、念の為「教授達とフィルチには内緒ね」と伝えてから、マフィンを抱えて厨房を後にした。
今回の悪戯に必要な材料は、あと1つ……
受け取ったマフィンの幾つかを、空き教室に置いた私は残り半分のマフィンを手に、チャーリーがいるであろう練習場の方へと向かった。
開口一番私がそう言うと、チャーリーは「箒?」と言いながらビルと同じく困ったような表情を浮かべた。
我ながらあの悪戯は天才だった。と当時の事を思い出し、思わず軽い笑い声を上げると、チャーリーはそんな私の事を見ながら「兎に角、箒は貸せない」と私に念を押した。
"ドラゴン"と言う名前を出した瞬間、あからさまに目の色と表情を変えたチャーリーは、マクゴナガル先生からの頼み事を忘れたかのように、快く箒置き場の鍵を貸してくれた。
一昨年に私が箒を盗んで以降、マクゴナガル先生は箒置き場に専用の鍵をつけたりして、私の悪戯へ対策してたみたいだけど…
チャーリーの弱点をよく知らないなんて、まだ甘いなぁ…笑 なんて思いながら、箒を借りた私は直ぐに悪戯の実行へと移った。
私がハロウィンに悪戯をする事は、今やホグワーツにいる全員が知っている。そんな私が、お菓子を普通に配っても、みんな警戒して食べてくれるわけが無い。
なら、まずはみんなの警戒心を解く事が必要。
だから、最初は本当に何の変哲もないマフィンを大半の生徒へ"普通に"配った。もちろん『何か入ってるんじゃないか?』と怪しまれるから、目の前で私自身も数個食べて見せた。
すると、何の変化も起こらない私の事を見て警戒心を解いた1人の生徒はそのマフィンを口にした。1人が食べてくれれば、後はこっちのもの。
『今年は、あなたが改心したみたいだ』なんて噂が広まり、私が配るマフィンをみんな普通に食べ始めたのだ。
悪戯に必要な準備が終わった頃、夕食の時間も近くなり、私は最後の計画を実行する為に大広間に向かった。
その途中、不安げな表情を浮かべたビルが、私に駆け寄ってくるなりそう言った。
ビルがそこまで言いかけた時、廊下の奥から最早聞き飽きた叫び声が響いた。それに振り返った私は、吹き出すように笑いだし、ビルはその光景に目を丸くした。
振り返った先には、私が調合した魔法薬の効果で"毛むくじゃらの耳と尻尾"が生えたフィルチが立っていた。
どうやら、ポリジュース薬を改良して作った魔法薬は大成功だったらしい。
滑稽なフィルチの姿を見て、大笑いしている暇もなく「今日という今日は許さん!追い出してやる!」と血相を変えたフィルチがこちらに向かってくるよりも先に、私はその場から走り去り、大広間の近くに隠してあった箒に跨った。
そんな事を言いながら、私は飛び掛かろとしてくるフィルチの事を避けると、箒で校内を飛び回りながら例の魔法薬が混ぜられたマフィンを「HappyHalloween!」と言い、1部の生徒へとばらまいたのだ。
そこまで話を聞いたロンは、あなたからの言葉を待たずして、酷く顔を歪ませながら話へと割り込んだ。
あなたの言葉を聞き、何やら苦い記憶を思い返したかのようにハーマイオニーがそう言うと、ハリーとロンも続いて小さく数度頷いた。
あなたの口から平然と並べられる言葉に、ジニーは呆れた表情を見せ、ロンとハリーは口を半開きにしたまま互いに顔を見合せた。
ロンはハリーに向かい、ボソッと小さくそう呟いた。
ハリーもそれに対し、一応教員であるあなたに気を使ってか、軽く眉を上げてバレぬようにロンの言葉に同意を示した。
そう言って悪戯にニヤリと笑ったあなたは、すぐ様ロンへと視線を向けた。視線を向けられたロンは、ブンブンと頭を振り「勘弁してよ!」とあなたから距離を取った。
焦り倒したロンの行動に、その場にいた全員が可笑しそうに笑い声を上げる。
あなたがそう言った瞬間「あなた!!」と言う叫び声が廊下の方から中庭へと響き渡った。
全員がそちらに視線を向ければ、そこには鼠の様な耳と尻尾を生やしたウィーズリーの双子が立っていた。
珍しく慌てる2人を煽るように、あなたはそう言って笑い声を上げた。するとそこに「Ms.あなた…!」と彼女の名前を叫ぶ声が再び響き、あなたは途端に 『まずい…』という表情を浮かべた。
ミネルバの怒鳴り声は、中庭だけでなく校内全体に響き渡る程のもので、双子が話に割って入る間もなくあなたへの説教は暫く続いた。
そして、説教が終わる頃には、双子に生えていたはずの耳と尻尾は、跡形もなく綺麗に取れており、その光景を目の当たりにしたあなたの頭の中は『成功した!』という興奮と感動で埋め尽くされ、ミネルバからの説教の内容などはあっという間に吹き飛んでいたのだった。
それから数年後、あなたの協力を経て この魔法薬をさらに改良した変身薬が"ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ"の新商品として売られ始めたのは、また別のお話…
✄-------------------‐✄
学生時代は、壮大な悪戯を幾つも行っていたあなたちゃんでした⋆⸜❤︎⸝⋆
先生になり双子の悪戯を叱る側にはなりましたが、やはりあなたちゃん自身も悪戯心を忘れてはいませんでしたね☺️
後日、普通に彼女が授業を行っている姿を見て
「なんで、クビにならないんだ…?」とロンが不思議がっていたそうです😌
皆さんは、どんなハロウィンを過ごしましたか?🎃
怪しいマフィンには、気をつけてくださいね…
🕯🎃*⸜𝑯𝒂𝒑𝒑𝒚 𝑯𝒂𝒍𝒍𝒐𝒘𝒆𝒆𝒏⸝*👻🍬






















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!