🐰
僕は物心ついた頃、
母親という存在はいなかった。
いわゆる父子家庭だった。
ただ、祖父母が同居していて
すんげえ甘やかして育ててくれたので
淋しいとか思ったことはなかった。
それが
小学四年生になったころ
母親と名乗る女が現れた。
父が再婚したのだ。
この女が妙に既視感があった。
父がやたらデレデレしていたのが記憶にある。
そして小学生になったばかりらしい
男の子がついてきた。
母と名乗る女の連れ子だった。
小1だと言うが幼稚園児にしか見えない。
小さなジョンインが小首をかしげてつぶやく。
かわいいんだが!
これはかわいい!
うちには猫がいて。
世の中には猫ほど美しく可愛い生き物は
他にはいまいと思っていたが。
匹敵する生物がおったとは!
ジョンイン恐るべし…。
横に長い瞳がうるうるしてて
庇護欲をそそる。
いきなり現れた母親はどうにも
警戒すべき存在だったが、
このジョンインは圧倒的なキュートさで
僕の心のど真ん中を突いてきた。
声もかわいい♡
僕が差し出した手の指を握ってきた。
ぷよっとした指先。小さな爪。
何もかも可愛い!
僕は決めた。
僕はこの子の一番になる。
ジョンイニにとって頼りがいのある兄。
ジョンイニの尊敬に値する兄。
ジョンインが離れがたい兄。
そんな男に僕はなる!
ジョンイニがうちに来て1、2年
10歳にも満たない頃、
ふと母が問うた。
ジョンイニの切れ長の目が
不安そうに揺らいで僕を見る。
兄弟っつっても血縁関係はないんだし。
母が眉根を寄せて僕を諌めてきたが気にしない。
僕はジョンイニに夜ごと唱えていたのだ。
ジョンイニがぴとっと僕に
抱きついてきた。
うう。
この可愛い生き物は僕のもの。
誰にもやらん。
毎日のように僕がジョンイニに
お嫁さんになれ〜と唱えていたら
ジョンイニはまんまと懐いてくれた。
しかしジョンイニが中学生になったあたりで
魔法が解け出した。
反抗期でも可愛い。
気にせず
僕がジョンイニを抱きしめていると
ダイニングテーブルで頬杖ついていた母が
しらっとした顔で言う。
僕は高校生になっていたし。
弟にじゃれついてる年齢じゃないかもしれない。
でも相変わらずジョンイニは可愛いし。
僕の執着はまったく薄れない
僕らがイチャイチャしていても
母は血の繋がりのない兄弟で
仲違いしてるよりはと
思っているのか。
毎日の光景と慣れてしまったのか、
特に注意されることもなくなった。
アイエンさん、お誕生日おめでとう〜🎂
お誕生日記念作品を
上げたかったんですが
ちょうどいい感じのが書けず。
前に書いたものの先が書けずほったらかしてた
作品を出してみます…。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。