side紫
ここは小中高一貫校である
『 響奏学園 』の保健室。
俺、紫雲 祈麻はここの養護教諭で、
机にカタン…と珈琲を置いた、
ふわふわのウルフカットの彼女は桜木 蘭音
俺の幼馴染兼恋人で、同じく養護教諭だ。
らんが、俺の隣の椅子に腰掛ける。
淡い桜色のセーターに白衣を羽織ったその姿は、
何処か儚くて、美しかった。
ふと、君が窓の外へと視線をやった。
そこには、入学式の頃に満開だったが、
今は少しずつ散っていく、桜があった。
俺も桜を見ていることに気付いたらんが、
桜から視線を逸らさないままぽつりと呟いた。
桜は綺麗だけれど、
らんみたいに特別好きなわけでもないし、
らんみたいに愛しい物を見るような目で見れない。
__それに、この学校の桜は、
〝 あの頃 〟を思い出すから__。
らんは此方へ少し視線を移して、
ふわりと笑った。
__桜のように儚い笑顔で。
『 ガラガラッ 』
元気な声が保健室に響き、
その声の主であろう白髪に
色とりどりのメッシュが入ったオッドアイの少女と、
その少女に横抱き…所謂お姫様抱っこをされた、
茶髪を三つ編みでゆるりと後ろで結んだ
水色の瞳の少女が保健室へと入ってきた。
…何て言うのかまぁ、見せつけられてんなぁ…(遠い目)
朗らかに微笑んで対応をするらん。
さて、それじゃあ俺の仕事は…
そう言って、元気に返事をした少女の正面に座った。
紙に、生徒の情報を書き込んで行く。
さて、俺の仕事は終わり。
らんはどうだか…
…丁度終わったみたいだな、w
『 ガラガラ… 』
多分、れるはきっと…
なんて、考えるのは野暮なことか。
『 コンコン 』
らんをからかっているとノックの音が響いた。
このスイカ頭の男はすち。
響奏学園 中等部の主任だ。
それで俺たちの元同級生でもある。
居心地悪かったりするんかな
穏やかな声ですちが問う。
…こいつ、初等部担当向いてるんじゃね?()
…これは訳ありそうだな…
らんはすちの言葉に少し、俯いて。
桜色の瞳に、影を落としながら、
こさめと、みことを優しく撫でた。
こさめがそっとみことの腕に抱き着く。
『 ガラガラ… 』












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。