第20話

【黒下】ALL MIX COLORS OF THE METRO
3
2025/07/08 14:00 更新
暗闇から、視線が痛く突いてくる。感じたことのあるあの目つき、自分の中では記憶に新しい。



自分の記憶が確かなら、あのじっとりとした眼差しは……。










上の方から騒々しい物音が聞こえてきて、目が覚めた。黒大理石みたいな少々禍々しい黒床から起き上がる。
「うおぉ、起きられたか?」
自分の目の前に、少女にも見える少年が、こちらを見下ろしていた。彼のサイズピッチピチのブーツが電灯に当たって、光沢が眩しい。
「もう平気そうか?自分の事……名前は覚えているか?」
自分の事、少々青みのある彼とは違い、日を浴びて赤寄りに焼けた肌。そして……ここは湿気が強いのか、ぼさついている。生まれつき明るい茶髪の髪は、首下あたりまで伸びている。
「おお、ちゃんと目も覚ましたようだな」
自分の目、橙色の眼は丸くしながら彼を見上げた。
膝上まであるブーツ、足肌を隠す黒色のストッキング。暑いのか、ノースリーブを着ている。彼の彩度の低い瞳を見ていたら、彼は続けた。
「立てるか?」
彼のオーバーサイズすぎるコートの裾から出てきた、その手を取った。
 
改めて辺りを見渡す。青白く光る複数の電光塔は、ことろどころ電池切れを起こしている。薄暗さが残っているのが少々不気味だ。
「この辺りから物音がしたと思ったら、人が倒れてたもんだから、びっくりしたんだぜ」
自分を見つけ、起きるまで待っていてくれた彼も、改めて様子を伺った。

立ったことでわかったが、男性らしい声なのに、非常に背が小さい。小学生ぐらいだろうか。それに、彼が履いているはただのストッキングじゃないな、腰辺りまでもストッキングが伸びている。先ほど触れなかったオーバーサイズの灰色コートを肩に掛けず、肘まで下ろして着ている。
「そういや、オレはヒビキ。瞬時……いや、もう石黒だ。石黒 響だ。よろしくな」
彼はそう言って目配せをした。聞いたことある気がする、でもなぜか覚えていない。かなり身近な存在だったように思えたが……。
とりあえず自分も彼に挨拶を交わした。
自分の名は、遊馬 燈志。

今日は、所属している陸上部の練習が終わって、帰っている最中だったはずだった。が、気が付けばこんなところで倒れていたらしい。もう校内の一番エースがいなくなってしまったから、練習が厳しくなってきいていたところだったのに。





今は帰らなくては……。
「ここから出るための電車があんだよ。行こうぜ」















さて、前回に引き続き…って感じですね。あがりです。
今回は、「ALL MIX COLORS OF THE METRO」。前回の「白塔」と対になるお話で、通称「黒下」。
「白塔」の舞台、地上の異世界に対し
「黒下」の舞台は、人気のない地下鉄。
まだまだ登場人物は少ないですが、各お話の登場人物も対となる者たちのなので、完全にバージョン商法みたいになっていますね…()
今はまた違う短編も書いていますが、こちらも進めていきたいですね…
それでは、私はこの辺で。

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