キーンコーン…
お昼のチャイムが鳴る。
「蒼ーお昼食べよーぜー」
「…悪い、泉田。今日用事あるから。」
「おう。」
そう言い、僕は屋上へ向かった。
〝用事〟は、1人になる口実だった。
僕は考え事するときいつも屋上へ行く。
一人の時間が僕の心を癒してくれた。
だが。今日は、先着が1人居たようだ。
「あ、すみませ」
先着は本条飛鳥だった。
「あっ…蒼君。ごめんね。…使う?」
「いや。僕はいいよ、教室戻るね」
そう言い、帰ろうと屋上のドアノブに手をかけた時だったー
「…っ待って!!」
「!」
彼女は僕のシャツを掴んだ。
「本条さ…」
「一緒に!屋上使おう…?」
「え。いいの?」
「だって友達だから。」
〝友達〟その一言で彼女と繋がっている僕は断わらずにその誘いに乗った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!