昨日は、自分から抱きしめておきながら
何も言わずに帰っちゃったんだよなぁ…。
1度は、わたしを引き止めてくれたけど
さすがに2度はなかった。
…いったい…この気持ちはなんだろう…
幸せなんだけど…
どこか、苦しくて切なくて…
芽衣を抱きしめてる時は
こんな気持ちにならなかった。
今まで周りから男に間違われたこともあるし
女の子から告白された事はない
と、言えば嘘になる。
だけど、あんなに可愛くて
愛おしくて
綺麗に見えた女の子は
初めてだった。
わたし…ひょっとして…
…
…
…
いやいや!ダメだ!ダメだ!
わたしは、一応女で
彼女も立派な女の子な訳だし
わたしに好意なんてもたれた所で…
彼女からしてみれば、きっと迷惑でしかないんだ…
それに、彼女とはもう会える事はないだろう。
わたしは、自分の家のマンションに帰ってきた。
ガチャ
ふと、下を向くと
全く知らない靴とヒールがあった。
…なんだろ…お客さんかな?
ガチャ
わたしは、リビングのドアを開けた。
萌ママと芽衣が笑顔でそう言ってくれた。
男の人と女の人の後ろ姿が。
萌ママがそう言ったのと同時に
2人が椅子から立ち上がって
わたしの方に振り向いた。
一瞬、その瞬間がスローに見えた。
なぜなら
彼女もわたしと同じくらい驚いていた。
え、え、え、
草太パパと同じ会社…の人…?!
2人はわたしに深く頭を下げた。
あ、そだ!わたしも挨拶しなきゃ!
うーん…こんな感じでいいのかな…。
けど、草太パパいないのに
なんで、ここにいるんだろう…
と思っていると
…なるほど…そういう事か
わたしはそう言うと
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!