うらぎった?
ウラギッタ?
裏切った?
違う。私は…
あなたの下の名前の言葉を遮るように
ニコライが発言をした
ニコライがゆっくりと振り返った
其処に居たのは何時ものニコライじゃなかった
ニコライの圧が全身の毛を伝ってくる
ニコライがボソッと呟いた
唯一手を差し伸べてくれた相手
兄に要らないと云われたあなたの下の名前
涙が滝の様に流れ出る
一瞬ほんの一瞬ニコライの顔が暗くなった気がした
あなたの下の名前が顔を上げた瞬間
ドン…
ニコライがあなたの下の名前の肩を押し
天空カジノのから落とした
あなたの下の名前が気づいた時にはもう遅い
空中に浮いている
否重力に従って落ちていると云った方が正しいだろう
なんで…落としたのはそっちなのに
なんでそんな
苦しそうな顔をしてるの…?
乱歩視点
僕の推理が正しければあなたの下の名前はきっと
ニコライ・ゴーゴリに捨てられるだろう
でも死なない
態と死なせないようにしているんだ
乱歩が目にしたのは丁度あなたの下の名前が
ニコライに落とされ宙を舞っている所だ
乱歩が敦に指示をした
ボチャンッ!!
あなたの下の名前が海の中に沈んだと同時に
敦が動き出した
敦は海に潜りあなたの下の名前を救出した
あなたの下の名前は敦に抱えられ乍
陸へと上がった
あなたの下の名前の目には光が入ってなかった
浮かない顔であなたの下の名前がゆっくりと口を開いた
~あなたの下の名前とニコライがまだ15にも満たしていない頃~
私は産まれた時から異常だった
左目が生まれつき無かった
両親は気味悪がった
私は幼いながらに意味が判っていた
私は存在してはならない者だったこと
両親の望んでいなかった子
其のくらい判っていた
両親は私のせいでご近所さんから
嫌われていた
“あんな子と一緒に居たら家の子に病気が移る”
“親にも近づいたら駄目よ”
嗚呼、そんな事云われなくたって判ってるよ
苦しい
もう逃げたい
いっそ死んでしまいたい
ずっとこんな事を思いながら生きていた
私は兄の存在を18になるまで知らなかった
なぜなら両親は兄も嫌っていたからだ
私と合わせる気は微塵もなかったらしい
そんなある日
学校から帰ってきたら家中が血腥かった
恐る恐るリビングに入ると其処には両親の死体
階段を降りてくる足音が聞こえた
私も殺される
でも怖くはなかった
漸く楽になれる
そう思ったから
其処に立っていたのは私によく似た
男だった
兄?
其れもそうだ
こんなによく似た容姿を持つ2人が家族じゃなければ
なんだというのだ
其の瞬間あなたの下の名前は初めて感情というモノを覚えた
“嬉しい”
其れと同時に
“哀しい”
今まで気味悪がられてきたあなたの下の名前に初めて優しく話しかけてくれたニコライは
あなたの下の名前にとって嬉しい存在と共に
結局死ねなかった哀しい存在になった
ニコライがあなたの下の名前に手を差し伸べた
あなたの下の名前はニコライの事を
突如自分に舞い降りてきた神様だと思った
涙腺なんて切った筈なのに…
なのに
涙が止まらなかった
あなたの下の名前の顔に優しく手を置いた
ニコライは母の目に似ており
あなたの下の名前は父の目に似ていた
交換?
あなたの下の名前にとったらニコライは神様同然
綺麗なモノに穢いモノが入ると云うのも納得出来る
そんな心配にもニコライは笑いながら云った
隠す
そしたらあなたの下の名前も気にならないだろう?
と問いかけてきた
なんて我儘な発言に
ニコライは怒りもせず
これがあなたの下の名前とニコライの初めての出会いだった
ニコライは鳥が好きだ
自由が好きだ
だからそんなモノに囚われるなんて莫迦だと思っていた
けれどニコライは云った
ニコライの言葉に口を開けずにはいられなかった
でも今までにない以上に心が踊った
必要とされた気がした
私生涯この人について行く
そう心に決めた瞬間だった
虚ろな瞳に映ったのは乱歩だった



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。