あなた said
バシッ バシッ ドンッ
龍桜の間に来てから、お互いに1歩も譲ることなく激しい交戦がずっと続いてる
あれからお父さんの力はどんどん強くなってきて、私は何度も攻撃をもろに受け続けてる
壁や床に叩き付けられた衝撃で体中痛い
攻撃を避けて着地しただけで全身に痛みが走るぐらい
ところどころから血も垂れてきてる
ビュンッ バシンッ
必死にお父さんの攻撃に食らいつく
それでも……
お父さんの相手をしてても、考えてるのはみんなの事ばかり
みんなの事だから、ここから出ないで私たちを探してるかもしれない
むしろ、その可能性の方が絶対に高い
だったら、早く決着つけてみんなの所に戻らないと、またみんなを危険な目に遭わせる事になる
それだけは絶対に……
ビュンッ
バシッ
どうしよう、もろに攻撃を受けた…
あっという間に桜の木の下まで蹴り飛ばされた
ドンッ ドサッ
そんな事、言われなくても分かってる
家族みんなの事を思えば、私が乱桜組のトップになればいいだけって
それがみんなを確実に守れる唯一の方法だって分かってる
でも……
バシッ
ダメだ、もう体に力が入らない…
視界もぼやけてきて………
バンッ
この声って……
龍桜の間の入口に立っていたのは “家族“ のみんなだった
バシンッ
玲於を先頭に、みんながお父さんに攻撃を始めた
その隙に慎たちが私の方に駆け寄ってくる
私の意識がある事を確認して、慎に体を起こされる
そう言いながら、優しく抱き締められた
慎 said
龍桜の間に着いて扉を開けると……
桜の木の下で弱々しく倒れてるあなたと、その前に立つトップの姿が目に入ってきた
玲於さんを先頭にAKIRAさんたちがトップへ攻撃を始めた
トップの事は皆さんに任せて、俺たちは急いであなたのそばに駆け寄った
慧人が声をかけると、弱々しくだけどちゃんと返事を返すあなた
意識がある事を確認して、俺はゆっくりあなたの体を起こした
そう言って、優しくあなたを抱き締めた
にしても、あなたの体の怪我が酷い
体の至る所から血が出てるし
きっとトップの攻撃を受けて壁や床に叩き付けられたんだ
体中赤く腫れてる
やっぱりあなたは責任感が強いんだな
あなただって、分かってるはずだ
皆さんを巻き込まないためには、自分が乱桜組のトップになればいいって
今までのあなただったら、簡単に自分を犠牲にしてその道を選んでた
でも、今のあなたは違う……
隣であなたの手を握りながら樹が話し始めた
樹に続いて、北人と壱馬も話をした
2人の言う通り、あなたはいつだって1人で頑張り過ぎてる
1人でたくさんの事を背負い過ぎてる
俺たちは血の繋がりはなくても兄弟のような存在だ
小さい頃からあなたを守るってみんなで決めた
だから……
少し安心したように、あなたはにこっと微笑んで静かに目を閉じてしまった
俺たちがここに来るまで1人で頑張ってたんだもんな
俺はゆっくりあなたを木の幹に寝かせた
バシッ バシッ ドンッ
皆さんの方を見ると、トップとの戦いが続いてる
今の俺たちじゃ、トップの力には敵わないのは充分分かってる
でも、あなたが頑張ってくれたんだ
俺たちだってあなたの為に戦うって決めた
今度こそ、ちゃんとあなたの事守るからな……




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!