それは、 濮が すっかり 喋ったり 歩いたり できるようになった 頃ぐらい だった 。
― 両親が 死んだ 。
それも 目の前で 。
天宮家 に よって 。
そう か細い声で言う 母さん 。
父さん は もう動かない 。
濮は まだ幼かった が 、 理解した 。
― いや 、 させられた 。
” 死 ” という 恐怖 を 。
大切な人 が 死んだ 、 ということを 。
” ニンゲン ” への 恐怖 と 怒り を 。
そして 、 自分の無能さ を 。
全て 理解させられた 。
濮は 無力だ 。
何もできない 。
人に 言われたまま動く 、 人形のよう だった 。
だって 母さん に 言われた通り そこ から 逃げたから 。
― 強くなりたい 。
大切な人 を 守るため に 。
もう 死なせないため に 。
― 不意に がさがさ っと 音がして 後ろを 振り向く 。
恐る恐る 問いかける 。
もしかしたら 追手かもしれないから 武器 を 構えて 。
腰にある 刀 を 地面 に おいて 両手 を あげている 。
― 天宮家 の 奴 じゃなさそうだ 。
それに ― 珍しい 鴇色の瞳 。
ヒト よりも 異様に 輝く瞳 は 妖怪の証 。
それと 頭に 角 や 耳 が 生えていれば 確実だろう 。
目の前 の こいつは ちゃんと 生えてる 。
つまり 同類 って ところかな
彼は ” ないこ ” というらしい 。
色々と 深く 、 彼の知っている 範囲で 全て 教えてくれた 。
妖怪 の こと を 、 そして ニンゲン のこと を 。
それから 彼は こう提案してくれた 。
” ” 君に自由な世界 ” を 提供する ”
自由 に 生きること が できるのなら 、
誰にも 縛られなくていい 世界 が あるのならば 、
今の 濮 に とって コレ以上 の 幸福 は ないだろう 。
自由 な 世界 を 手に 入れられたら
濮 は ” あの時みたいに ” 笑って 過ごせるのかな 。
― ニンゲン に 復讐 できるのかな 。
きっと 答えは ― 。
― 濮は 彼に 付いていくこと に した 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!