第24話

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2026/07/02 09:00 更新





   ぼんやりと , 赤みの引かない手首を見つめる

   あんな力で掴まれたらこの結果は当然だし
   そもそも私が嘘を吐いてしまったのが悪いんだ


   いつも穏やかで優しいおっぱに ,
   あんな顔をさせてしまうぐらいだから
   これぐらいが妥当な罰だと思う


sh「 … まだ痛い , ? 」


   遠慮がちに覗き込むおっぱの瞳は
   ゆらゆらと揺れていて

   まるで不安定な波のようだった


sh「 ごめんね … あなたの綺麗な体に … , 」

sh「 今日は家事も全部おっぱがやるから
  あなたはここで座ってて 」

「 うん … ありがとうおっぱ 」


   そう言い残してキッチンへ向かうおっぱの背中を
   私はただぼんやりと見送った

   冷蔵庫を開ける音 , 包丁を取り出す音
   手際のいい生活音だけが部屋に響いて

   さっきまでの出来事が
   全部夢だったような気さえしてくる


「 …… 」


   手首へそっと指先を滑らせると

   少し熱を持っているだけで
   痛みはもうほとんど無かった

   おっぱだって好きであんな事をした訳じゃない
   私が嘘を吐いたから ,
   心配をかけてしまったから

   だから , しょうがなかったんだ


「 … おっぱ , 」

sh「 うん , ? 」


   申し訳なさなのか不安なのか
   よくわからない感情が混ざって
   
   気付けばおっぱに抱きついていた


sh「 ㅎ どうしたの , ㅎㅎ 」
 「 寂しくなっちゃった ? かわいいね , ㅎ 」

sh「 でも今は刃物もあって危ないから … 」


   もう少しだけ待っててね , なんて
   火を消しながら言うおっぱ


   普通に考えればまさしくその通りで
   素直に離れるべきなのだが

   自分でも分からないぐらいに
   “ 拒絶された ” 感覚の方が何故か強くて
   離れるどころか一段と強く抱きついた


sh「 … あなた ? 」


   困ったように笑う声が聞こえる

   それでも腕の力だけは抜けなくて
   顔を背中へ埋めたまま小さく首を振る


「 … やだ , 」

sh「 ん ? 」

「 …… 離れたくない , 」


   言葉にした瞬間
   自分でも何を言っているのか分からなくなる

   さっきまで怖かったはずなのに

   どうして今は
   おっぱから離れる方が怖いんだろう


sh「 …… ㅎ 」


   ふと頭が少し下がるのが見えて
   直感的に笑ってるのだと思った

   包丁を離れた場所に移動させ ,
   ゆっくりと体の向きを変えると
   そっと私を抱き寄せた


sh「 怖い思いさせたのに , それでも
  おっぱの所に来てくれるんだ , 」


   頭へ唇が触れるほど近くで
   優しい声が降ってくる


sh「 大丈夫 , 」

sh「 おっぱはもう怒らないから 」
 「 安心していいよ ㅎ 」


   ぽんぽん , と一定のリズムで背中を叩かれる

   昔から変わらない安心する癖
   その癖のおかげで胸の奥のざわつきが
   少しずつ静かになっていく


sh「 … でも一つだけ約束して ? 」

「 … うん , 」

sh「 これからは何でもおっぱに話してね 」


sh「 嬉しかった事も悲しかった事も … 」

sh「 誰と話して , 誰と会う約束をしたかも全部 , 」

「 うん , わかった 」


   頷いた私を見ておっぱは心底安心したように
   目を細め , 頬に軽くぽっぽをする


sh「 あなたは良い子だね , ㅎ 」


   少しずつ自分自身の世界を狭めているとも知らず

   私はただ , おっぱが嬉しそうに笑うから
   ようやく安心出来た気がして
   おっぱの胸に顔を埋めた



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