第38話

きょうだい
11
2025/08/18 08:02 更新
光に包まれ、目を開けていられないほど眩しかった。
目を開けるとさっきまでの景色ではなく、音楽室に戻っていた。
武田 琉唯
武田 琉唯
お兄ちゃん…
目の前には涙を流した先輩の姿をした異形が居た。
そして僕の横に座っていた瑠美さんは立ち上がり、先輩を目掛けて走っていった。
そしてその勢いのまま抱きついた。
武田 瑠美
武田 瑠美
君はお兄さんが大好きなんだね。
古葉 一樹
古葉 一樹
ちょ、瑠美さん。危ないよ
先輩が手を動かしたのが見え、攻撃されるのではないかと心配して近寄ったが、その必要はなかった。
武田 琉唯
武田 琉唯
うん。私、お兄ちゃんのこと…好き。
瑠美さんを抱き締め返していた。
武田 琉唯
武田 琉唯
あ、そうだ、そろそろ出てくね。
その瞬間、先輩は倒れ込んだ。
古葉 一樹
古葉 一樹
え?
武田 琉唯
武田 琉唯
…いたた。もうちょっとゆっくり出ていってよ
異形
異形
ごめんね
先輩は起き上がり、後ろを向いて文句を言った。
しかし、異形はそんな事は全く気にせず、瑠美さんの前に立ち
異形
異形
それと、お姉ちゃん、ありがとう!
と、満面の笑みで瑠美さんにお礼を言った。
武田 瑠美
武田 瑠美
うん!落ち着いてくれて良かった。
異形
異形
あっ!ねぇ、最後に首を切るの、お姉ちゃんにお願いしてもいい?
武田 瑠美
武田 瑠美
うん。
異形
異形
ありがとう。バイバイ
武田 瑠美
武田 瑠美
バイバイ。
刀を首にあて、切ろうとしていたその時。何者かが異形を連れ去った。
異形
それは良くない
武田 瑠美
武田 瑠美
えっ、
異形
んん?お前まさか、生きていたのか!
異形
なぜ助けなかっ…いや、そうか、お前はこちら側ではないのか。
訳が分からない。全く言っていることを理解できなかった。それは武田兄妹も同じようだ。
異形
安心しろ。今は何もしない。情報が手に入ったからな!
そういうと異形は姿を消した。嵐のような人だ。
武田 琉唯
武田 琉唯
何だったんだ?
巫 琴音
巫 琴音
私も分からない。
武田 瑠美
武田 瑠美
でも相手は琴音の事知ってそうだったけど?
巫 琴音
巫 琴音
私は、ちょっと色々あって異形の世界では結構有名だからね。
古葉 一樹
古葉 一樹
そうなんだ。
また始まった、と思い軽くあしらった。
巫 琴音
巫 琴音
えー、もっと興味持ってくれても良いんだけどなぁ!
古葉 一樹
古葉 一樹
知らないよ
どうやって相手にしようかと考えていると先輩が話題を変えてくれた。
武田 琉唯
武田 琉唯
そういえば、あの子ってまだ居るんだよね。
武田 瑠美
武田 瑠美
うん。まだいるよ
首を切り損ねてしまった瑠美さんはとっても悲しそうに答えた。
ほんの一瞬でも仲良くなって、姉妹のように見えていた2人。
せめて自分で倒してあげたかっただろうに。悲しいのは当たり前だ。
古葉 一樹
古葉 一樹
……
かける言葉が見つからなかった。
武田 琉唯
武田 琉唯
よし!今日は帰ろう!
古葉 一樹
古葉 一樹
え、
巫 琴音
巫 琴音
そうだねー、これ以上ここにいる必要も無いし。
古葉 一樹
古葉 一樹
うん。分かった。じゃあまた明日!
僕は2人に手を振り、帰った。



***



琉唯side
巫 琴音
巫 琴音
じゃ、邪魔者は退散しようかな!
武田 琉唯
武田 琉唯
助かる。
巫がここを去ってからしばらくして、瑠美が声を出した。
武田 瑠美
武田 瑠美
…悔しい。
武田 琉唯
武田 琉唯
うん。わかってる。
瑠美の頭を自分に引き寄せ、顔を隠した。
武田 琉唯
武田 琉唯
いいんだよ。泣いたって。だって俺たちは人間じゃないか。
武田 琉唯
武田 琉唯
悔しくて当たり前。それで泣いたって誰も責めない。だから、好きなだけ泣け!
武田 瑠美
武田 瑠美
うん。
瑠美は静かに涙を流した。

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