第62話

やきもち
94
2021/08/24 18:12
忙しく毎日を過ごしていた
気がつけば明後日は記念日

残念なことに当日お祝いはできないが
次の日だったら1日空けられると教えてくれた

あなた(風磨くんの好きなカレー作ろうかな…でもこだわりあるからやめといた方がいいかな…何作ろう)

仕事をしながらルンルンとお祝いする日の料理や
プレゼントの事を考えていた

プレゼントはもちろん購入済み
家の中に隠してある

勘のいい彼のことだからすぐ見つかるんじゃないかなんて考えていたが
なんとか今日までバレずに隠し通せた

あなた(早くお祝いしたいなー)

私はまだルンルンな気分のままだった
自然と口角も上がってしまう

後輩「…先輩、なにニヤついてるんですか?」

後輩ちゃんに顔を見られていた

後輩「なんかいい事ありました?」

後輩もにやにやしながら聞いてくる

あなた「あ、ごめんなんでもない」

半笑いで答える私

後輩「どうせ彼氏さんのこと考えてたんでしょ?」

顔に出てますよー
なんて言われてしまった

テレビで大々的に公表してから
私の彼氏があの菊池風磨だと知ってる人も増えたが
入社したての後輩達はまだ気づいていない子もいた

自分から言うことでもないし
また騒がれても嫌なので一応隠してはいた
でも彼氏がいるという事はみんな知っていた

少し罪悪感もあるが
その方が都合が良かった

何とかその場を切り抜け
違う話題にすり替えようとした時
また違う後輩が話しかけてきた

後輩1「…先輩!!あのはなさんと知り合いって本当ですか?!」

少し興奮気味な後輩ちゃん

あなた「あのはなって…はなちゃん?」

後輩1「はい!海外でファッションショーやったっていうあのはなさんです!」

あなた「あー…知り合いっていうか…ライバルだよ」

ちょっと自慢してしまった

後輩1「え!ライバル…!え!?」

興奮がパニックに変わった

あなた「元々、ここで同期だったんだよ」

その光景が面白くて笑いながら教えた

後輩1「え!?そうなんですか…!?じゃあもうはなさんに会いました?!」

あなた「え?はなちゃん帰ってきてるの?」

はなが帰国したとは聞いていない
何かの間違いじゃないだろうか?
そんな事を思いながら尋ねると

後輩1「今日本に帰ってきてるらしいんです!!私の友達がたまたま見かけて教えてくれたんです!」

後輩は早口で教えてくれた

後輩1「私はなさんに憧れてて、会いたくて急いでその場所行ったんです!そしたらSexyZoneの菊池さんと一緒に居たんです!」

あなた「…え?」

風磨くんとはなちゃん?
今度は私がパニックになりそうだった

あなた「ちょっとまって…本当にはなちゃんと菊池さんだった?」

後輩1「はい!間違いないです!はなさんと握手してもらいましたもん!」

あなた「…そうなんだ…」

嬉しそうに話す後輩とは逆に
どんどん顔が曇る私

後輩1「本当は内緒にしててって言われたんですけど…嬉しくて話しちゃいました」

あなた「そう、なんだ…」

どういうことだ?
はなが帰ってきてる?
風磨くんと2人で会っていた?
なんで風磨くんははなの事を黙っている?
色んな感情が溢れそうになった

後輩1「…先輩?どうかしました?顔、怖いです…」

後輩に指摘されてはっとした

あなた「ごめんごめん!なんでもないの!いいなー私もはなちゃんに会いたいな」

明るく振る舞うと後輩はほっとしたような顔をしてはい!と元気よく返事をしてくれた
話終えると満足したのか足早に立ち去って行った

あなた(なんか…もやもやする…)

このもやもやは何に対して?
はなに?風磨くんに?2人に?
今まで味わったことの無い感情に
戸惑いを隠せなかった

仕事が終わり家に着き食事の準備をする
そんな最中でももやもやは消えない
ぼーっと考え、はっとして、またぼーっとする
そんなことを繰り返していた

あなた(なんではなちゃん知らせてくれないんだろう…風磨くんもなんで黙ってるんだろう…なんで…)

なんで隠れて2人で会っていたの?

この答えにたどり着いた時私は確信した

あなた(これ…嫉妬だ)

自分がヤキモチをやいていることに気づいた
自分の心の中が醜い嫉妬心で溢れている

あなた「これ…どうやったら消えるの…」

気づいたら声に出ていた
それと同時に

菊池「なにが?」

自分の真後ろで声がした

あなた「っわあ!!ふ、風磨くん…」

いつもと変わらない笑顔の風磨くん

菊池「ただいまーって言っても返事してくれないんだもん…どしたの?」

ん?と顔を覗き込まれる

あなた「ご、ごめんなんでもない…」

慌てて顔を背ける
今は彼の顔が見れない
自分の中の汚い感情が見透かされそうで怖かった

菊池「…なんでもなくないよね?どしたの?体調悪い?」

せっかく顔を背けたのにくるっと体を反転させられ気づけば正面に彼がいた

菊池「なんか顔色悪くね?元気ないし…熱でもあんの?」

おでこ、頬
心配そうな顔をして色んな所に手を当てられる

あなた「本当に、大丈夫!ちょっと仕事のこと考えてた…」

菊池「またなんかあった?嫌なこと言われた?」

心配そうな顔のまま聞かれる

あなた「本当になんでもないの!大丈夫!」

私が笑って答えると

菊池「…本当にー?」

少し冗談混じりの顔をして
その顔を近づけてくる

菊池「あなたは自分のことになると我慢しちゃうから心配なんだけど?」

気づいたらおでことおでこがぶつかっていた
ねえねえと言いながら彼のおでこがぐりぐりと押し付けられる

あなた「痛いって…本当に大丈夫だよ」

うそ
ちゃんと彼は力加減をしてくれる
本当は痛くもなんともない

菊池「なんかあったらすぐ言いなよ?」

おでこを離したと思ったら今度は優しい顔で
ね?なんて首を傾げながら言われる

あなた「…うん、ありがとう」

私が微笑んでそう答えると彼は満足したのか
私に軽く触れるだけのキスをした

菊池「お腹空いた!ご飯食べたい!」

男性の顔になったと思ったら
今度は少年のような笑顔

はーいと返事をしてテーブルに食事を並べる
2人で食事を食べていつも通りの会話をする

いつもと同じように
変わらないように

でも私の心の中は
嫉妬心という感情で満たされ支配されそうだった

気づかれないように
いつもの笑顔を貼り付けて
彼と味のしない食事を食べ進めていた

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