第24話

ア ド バ イ ス
1,608
2024/05/01 11:17







_長尾_












遺書
      
             長尾謙杜



今日、僕は死ぬことにした




人生なんかクソ喰らえだ




虐められているわけでも、虐待を受けてる訳でもない




ただ、起きて、学校行って、ゲームして、食って、寝る



しょうもなくて変わらない日常が嫌になっただけ




この遺書を手に取った人は、川にでも流し捨ててください












、、、











遺書を書き終わり、床に放り込んだあと、屋上の柵を乗り越える











長尾「ばいばいやな」











1歩足を空中に踏み入れた瞬間、













道枝「長尾くんって、死ぬつもりやったんや」














俺の書いた遺書を持ってそう問いかけてきた君がいた












大して仲も良くないし、クラスも違う道枝くん














長尾「お前に関係ない、じゃあ、」












もう一度足を踏み入れようとした瞬間













道枝「ほんまに、ちゃんと考えた?」













長尾「、なにが」













道枝「一旦、こっちこい」











長尾「はぁ?なんでや」











いつでも死ねるし、まあちょっとぐらい相手したるか













そう思い、もう一度柵を乗り越えた













道枝「みんなが悲しむとか、ホンマに考えた?」












長尾「俺が死んで悲しむやつなんておらんやろ」











道枝「、ここにいるやん」













長尾「、は、?冗談言わんといて 笑」












道枝「遺書、読んだよ、お前、ゲーム好きなん?」












長尾「おん、色々やってんで」












道枝「じゃあさ、ゲームして見いひん?どっちが人生を楽しくできるか」













長尾「しょうもな、どうせ楽しくできひんし、やらんくてええよ」













道枝「人生はセーブが効かんゲームだと思えばええやん、どれだけ楽しい人生を送るかで競おうや」















長尾「やから、どうせ楽しくできひんって、言ってるやん」













道枝「俺が協力したる、だから、もうちょっと死ぬの待ってくれん」

















道枝くんの考えに渋々了承し、道枝くんの手を取った












思いっきり俺の書いた遺書を破る道枝くん














長尾「は、なにしてんねん」













道枝「こんなもん、必要ないやろ?」













そこから、道枝くんは俺の人生を色鮮やかにしてくれた














道枝「長尾ー、一緒に帰ろ」













一緒に笑いあって、いっぱい喧嘩して、












気づけば、遺書を書いた日から3ヶ月が経とうとしていた













放課後、いつも通り道枝くんに会いに行こうと教室に向かう












長尾「しゅんー、?」














どこを探してもおらん、













俺は嫌な予感がして、駆け足で屋上へ向かった














長尾「しゅ、ん、、」
















道枝「、なが、お、」














そこには涙を流しながらノートに何かを書いている道枝くん














長尾「なに、かいてんの」













俺が覗こうとすると、必死に阻止をしてくる













長尾「、遺書じゃないよな、最近様子おかしかったし、」













俺はノートを強引に奪い文章を読む













遺書


              道枝駿佑




俺には、長尾を助ける資格がない。



頼りないし、何にもできないし、調子乗って言ったらいいものの、多分長尾には余計なお世話や




俺は誰からも必要とされてない




この遺書を手に取った人は、長尾が生きていけるよう、サポートしてあげてください







、、、













長尾「、なにやってんねん」













道枝「ご、ごめん、なさい、」













長尾「十分助けてくれとるくせに、お前が死ぬとか、マジでありえん、っ」














道枝「、ごめん、ほんま、に、俺は、長尾と違ってみんなに必要とされてないから、」












長尾「、俺が、必要としてんねん、っ、」













道枝「ぇ、?」











長尾「、なあ、ゲームしようや、どっちが人生を楽しくできるか、」














今度は俺が助ける番や













持っていた遺書を、思いっきり破った













end

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