多分、この時から始まっていたんだと思う。
縋るような思いで
『助けてください…………ッ』
そう言うと、自然と涙が溢れた。
私の言葉を聞いて目の前の彼はふっと口角を片方上げると、次の瞬間
私の唇を、自分の唇で塞ぐようにキスをした_____
何秒にも及ぶキスで私の頭も混乱した。
こうしているうちに、ストーカー男は見くびって逃げるように去っていったし………
ストーカー男が立ち去れば、その唇は次第に離れていった。
「次こんなことがあればお前はクビになるだろう」
そう彼は言うと私の前から消えていった。

ぱたりと膝が崩れて、そのままいると
「おう、お前が新人ってやつか。俺は九井一だ。」
そう言って控え室に入ってきたのは、私の目当てであった九井さんで。
でも、さっきのことが頭から離れずに九井さんが来たことに気づくまでに少しかかった












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。