第40話

火花
281
2026/01/13 06:59 更新






あなた
  意外と、スポーツドリンクの  
消費が早いな



クーラーボックスを覗き込む。


数が合わない気もするけど
一本二本のズレなんて、まあ、よくあることだ。



あなた
  誰かが2本飲んだのかな  



(気のせいだろう)




補充を済ませ、私はそのまま
昼ごはんの準備に取り掛かった。




あなた
  あ、 


野菜を切っていると
指先がほんの一瞬ずれ、指を切ってしまった。




あなた
  止まんないな、 


軽く切っただけのはずなのに
赤がじわ、と滲む。


思ったより血が出てしまっている。

私は水で流して、絆創膏を貼った。




















13:10 休憩時間



片づけを終えたその時

視界に影が落ちる。


黒尾鉄朗
  よ。お疲れ様  


聞き覚えのある声。

顔を上げた瞬間、心臓が跳ねた。


あなた
  ! く、黒尾  



画面の中の人が、現実に立っている
ということに未だ慣れない。

顔が一気に熱くなる。
黒尾鉄朗
  よかったら一緒にご飯食べません?  


軽い調子なのに、胸がざわつき
思考が完全に吹き飛ぶ。








(待って、私、絶対変な顔してる
鼻血出そう、いや絶対出る!!!)








あなた
  、えっとー  


混乱してたその時、別の声が耳に入った。





宮治
  あなたの下の名前、一緒に食べよや  


振り向くより先に、理解してしまった。




治だった。
あなた
  え、 


頭の中が完全にパニックになる。





(治?!待ってどうすればいい?
左右に座れば解決する?
いやでも、それが一番無理だ。心拍停止する)



男性に慣れていないせいで、
急に近くなった距離と急な接触に
処理できるわけがなかった。













_____いや、それ以前に。








(侑は? 角名と銀島くんは?
黒尾さんの方だって、研磨もいるはずなのに……)









周りを見渡す余裕なんてないのに
頭の中だけがやたらと忙しい。




思考が追いつかないまま

そのとき。





あなた
  ?!  



黒尾さんが、軽く私の腕を引いた。

黒尾鉄朗
  俺が先に誘ったので  



黒尾さんから有無を言わせないような圧を感じる。

宮治
  .........  



このままだと変に不穏な関係になってしまう。


バレーに支障が出たら良くない。








(ここは耐えよう、)



あなた
  あの左右に座って一______  
宮治
  高校ごとに集まった方が  
ええんとちゃいます?




左右に座って一緒に食べません?


と答えようとしたが、
治に遮られてしまった。


宮治
  ......  
  

な?とでも言うかのように
こちらを見てくる。

あなた
黒尾鉄朗
  ........  


そして黒尾さんもこちらの答えを待つかのように
こちらを見てきた。




視線が私に集まったからか鼓動が早くなっていく。












私は心を落ち着かせながら何とか考える。










(.....たしかにそうした方がいいかもしれない、)








午前の試合で得た相手の特徴等を
仲間と共有した方が
黒尾さんにとっても
チーム全体としても良いだろう。
宮治
  ........  

治が目を細めて私を見てきた。




なんとなく、私の思っていることを
察したみたいだ。




宮治
  なのですみません  


そう言うと、次はクイッと手を引かれる。


黒尾さんの手がその反動で離れた。

あなた
  うわ、!  


危うくコケそうになる。


以前私が黒尾さんと会った時よりも
やや強引な気がする。

若干焦ってるような、










あなた
  .......  


せっかく声をかけてくれた黒尾さんに
視線だけで「ごめんなさい」と伝える。








宮治
  自分あの黒尾って奴と知り合いなん?  


謝った後やけに強く握られた手に
意識し始めた時
治にそう聞かれる。







(なぜ今そんなことを聞くのだろう)



と内心不思議に思いながら
あなた
  、そうだよ  



今まで話し方的にそうだろうからと思い
そう答える。





すると、





宮治
  、ほーか  


と歯切れの悪い反応をされた
あなた



いつもと違う治に疑問を抱いていると


少しだけ治の握る手が強くなり
また余計に意識してしまう。




















黒尾鉄朗
  ......なるほどね  


奥で黒尾が目を細めながら
こちらを見つめていたことに
2人は知らない。

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