第7話

7!
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2025/12/09 12:11 更新
温かい陽の光が差し込む室内。
とある国が心踊らせ茶会の準備をしていた。
フランス🇫🇷
よし…!
フランス🇫🇷
茶葉よし!
フランス🇫🇷
お茶菓子よし!
フランス🇫🇷
ティーポットよし!
フランス🇫🇷
椅子よし!
フランス🇫🇷
天気は……良好!
一つひとつ指差し確認をする姿はまるで車掌…。
かの有名な美食国家だろうとも、恋するとちゃんとIQが下がったりするのである。
フランス🇫🇷
ここまでして関係が悪化する方が難しいよね、!
…そんな事も、言ってみたりする。
ピンポーン
フランス🇫🇷
来た来た来た〜!
トントン、と軽やかなステップを踏みつつ玄関へ向かう。作ってない、本物の笑顔と共に。
イギリス🇬🇧
うわ、
フランス🇫🇷
うわとはなんだ!!
イギリス🇬🇧
すみません部屋が綺麗だったもので
フランス🇫🇷
おお失礼極まりない
なんて言いつつ、心臓はドキドキバクバク。今日何かしらミスったら、それこそフランスの恋路は途絶える。
細心の注意を払い、今日という日を楽しむのだ。
イギリス🇬🇧
あとこれ、どーぞ
右手に握られた紙袋を差し出す。
イギリス🇬🇧
ほんの気持ちのお菓子です
フランス🇫🇷
えっあ、ありがと…
フランス🇫🇷
てかこれ結構高いお店の…
そんな事はどうでもいい、と言わんばかりにそそくさと椅子に座る彼。陽の光に照らされるリビングを見て、静かに微笑んでいた。
フランス🇫🇷
ん〜、おいし!
フランス🇫🇷
さすがjeってとこじゃない?
イギリス🇬🇧
まぁ、及第点程度ですかね
ティーカップをコト、と置いて軽くあしらう。
それはいつも見ていた彼と全く同じで、思わずフランスの心臓は跳ね上がってしまう。
フランス🇫🇷
うわ、嫌味だな〜…
フランス🇫🇷
だから誘う相手がjeくらいしか…
危ない、と失言を抑える。さっきまで頭の中で何回も、何回も意識していたのに。やはりハイになっているのだろうか。
待ちに待った今日という日を、みすみす逃す気は毛頭ないのだ。
フランス🇫🇷
てかさー、
イギリス🇬🇧
………
口元に手を持っていく。彼のよくする癖だ。たいてい深く考え事をしているため、半端な話題では見向きもされない。
イギリス🇬🇧
フランス、
先に口を開いたのは彼の方だった。
イギリス🇬🇧
最近誰か招きましたか?
フランス🇫🇷
ん〜、特に…
イギリス🇬🇧
では、確認している範囲で侵入者は?
フランス🇫🇷
……居ないはず、
一瞬、重く冷たい空気が頬をかすめた。が、気のせいにでもするように、ワントーン上がった声が鳴った。
イギリス🇬🇧
……なーんて、ちょっと気になっただけですよ
フランス🇫🇷
なにそれ〜…
あはは、と笑いを溢す。もう忘れよう、何度も頭に覚え込ませる。そうすると次第に平気になっていくものだ。フランスは、今までそうやって生きてきた。
イギリス🇬🇧
あはは、なんですかそれ!
フランス🇫🇷
でしょ〜?おかしいよね!
あれ、なんか…
結構反応良くない!?!?
イギリス🇬🇧
あー、ほんと…
目を細めて笑う彼は、気のせいかもしれないが心から笑っているようで。そうだ。この顔が見たかったのだ。
つい最近のこととも思える、イギリスのEU脱退。あれから接点が一つ、また一つとなくなった。それで何が起こるのか。単純に会う回数が減るのだ。すると、
イギリス🇬🇧
今日は来て良かったです!
…こんな言葉も、滅多に聞けないのだ。
フランス🇫🇷
、そっか
フランス🇫🇷
なら良かったよ!
一瞬たじろぐ。
その笑顔を目にするたび、自分の中の苦い感情が顔を出すから。
「この笑顔を壊してはいけない。」
そうして恋心にそっと蓋をするのだ。この気持ちを吐き出せば、それはもう楽になるだろう。でも、できない。今の心地いい関係に、ヒビが入るから。
できることなら、このままずっと、押し込み続けたい。そう願っている。
フランス🇫🇷
…てゆーか、そろそろ時間じゃない?
イギリス🇬🇧
もうそんな時間ですか…
イギリス🇬🇧
では、お暇させていただきますね
ゆっくりと帰り支度を始めるイギリス。
そこには、見えない名残惜しさをまとっている。
ガタン。椅子が揺れる。それは、この至福の時に終わりを告げる音色にはいささか不相応で。フランスの心を冷ますには十分だった。
でも、それを顔には出さない。
フランス🇫🇷
今日は来てくれてありがと!
イギリス🇬🇧
こちらこそ、お誘いいただいて…
イギリス🇬🇧
……
フランス🇫🇷
どしたの?
顔を上げ、少し不安そうな顔で答える。
イギリス🇬🇧
…今度は、昼食も誘ってくださいね
グシャ、と何かが壊れる。
この男は、どこまでフランスの心情を掻き乱したら気が済むのだ。傷を受けつつ回復させられる、生き地獄のようなものだ。
フランス🇫🇷
…あは、根に持ってる?
…そんな理解されない恋心を、少し吐き出したくなったのだ。
イギリス🇬🇧
え?
フランス🇫🇷
な〜んて、何言ってるんだろ、
一瞬、どす黒いそれをのぞかせ、瞬時にしまう。
フランス🇫🇷
君んとこも得意なジョークだよ、
そんなわけない。内心バクバクでたまらない。
愛しの人と両思い、しかも自分が他の男とランチに行って嫉妬してる?
そんな気持ち悪い妄想を、彼にぶつけたのだ。幸い、気づかれてはいないようだが。
イギリス🇬🇧
なんだかよくわかりませんが…
フランス🇫🇷
だったらそのままで良いよ
ドアノブに手をかけ、開く。欧米式の内開きだ。
イギリス🇬🇧
では、また
ギィ、と音を立て蝶番が仕事をする。
やがて背後の青空さえも見えなくなり、そこには冷たい風だけが残っていた。
扉の向こう側に消えていく彼を、2色の瞳が、ただ見つめていた。

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