昨日のとしみつとあなたのデート。
てつやもりょうくんも落ち込んでたな。
としみつももちろん親友だと思ってるし、
なんか、どうしていいか分からない。
てつやは終始笑顔だったけど明らかに無理した顔。
りょうくんはボーッとしてた。
しばゆーはすごい元気で、トミーは2人のこと気付いて気にしつつも場を盛り上げてくれた。
…俺あの時どうするべきだったんだろう。
この世の終わりみたいな顔したてつやを見て精一杯のフォローをしたつもりだったけど、いつもうるさいくらいに鳴るグループの通知が鳴らない。
なんとなく眠れなくてオールして、いつもよりもだいぶ早く学校に向かった。
憂鬱になりながらも朝練に行くといつもギリギリに来るてつやが1人で走ってた。
どうしようもなく心配になった。
駆け寄っててつやに声をかけたら、
泣いてた。
ゆめまる「どしたん。昨日のこと?」
てつや「…う”ん”。」
ゆめまる「やっぱてつやも好きだったか。」
てつや「めっちゃ、好き、学校来た”ぐながっだ。」
ゆめまる「泣くな泣くな。朝練前に疲れるから、とりあえず座ろう。部室は人来るから向こう行って、」
てつや「ありがど…。」
みんなが来始めるまでの30分くらい、てつやの話を聞いた。
今までりょうととしみつのために誰にも言わずに隠してたこと、自分なりにあなたに友達として接してたけど無理だったこと、俺だって呼び捨てにされたい、としみつと席を代わってあげられなかったこと、デートを見るとやっぱり辛かったこと、ズビズビと鼻水をすすりながら一生懸命話してくれた。
なんか、俺まで辛くなってきて少しだけ泣きそうだった。
てつやが最後に言ったのは、
「としみつもりょうもいい奴だから、どっちと付き合ってもきっとあなたは幸せだと思う。」
だった。それを言う頃には泣き止んで笑ってた。
ゆめまる「てつや、ここまで話したんだから本音言えって。俺だって友達だろ?」
てつや「…俺だって付き合いたい。これが本音。でもさっき言ったことも本音。」
複雑そうに笑った顔が全てを物語っているような気がして言葉が出なかった。
遠くからあなたの声がした。
「てつやくーん!ゆめまるくーん!」
無邪気で、嬉しそうな声だった。
てつやはまた、一瞬だけ悲しそうな顔をした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!