第20話

第15話「後悔」
259
2024/03/23 10:15
賃貸住宅にて
月詠白鳳
(鍵が開いている…どういうことだ?)
月詠白鳳
ただいま。遅れて悪い。今からスマホとか買いに行くぞ。
奥の部屋にも届くよう呼びかけたが、返事がない。
さては寝てるのか?
月詠白鳳
…いない…
部屋を隅々まで探したが、誰もいない。
誘拐か、それとも自分でどっか遊びに行ったか…
レフテ・バルスレット
君の連れは伊弉冉が連れてったよ。
早く迎えに行った方がいいんじゃない?
月詠白鳳
うわっ!?
後ろに立っていたのは悪信教のNo.2である。傲慢大司教だった。派閥が違うから会ったのは1、2回程度だが、存在感の大きさに圧倒されたのを覚えている。
月詠白鳳
また彼奴か……
ってか何でここに居るんだ?
レフテ・バルスレット
なに、調子はどうかと思ってね。
部下の健康を気遣うのは上司として当然だろう?
大司教が本当は何を考えているのかは分からない。
聞いたとしても疑問は解決しないだろう。
月詠白鳳
そ、そうか…
場所は、何処なんだ?
レフテ・バルスレット
最近作りかけの支部あるだろう?
あそこだよ。
月詠白鳳
ああ…あそこか……分かった。感謝する。
そう言って部屋を後にした。
今思ったが、不法侵入で訴えられるんじゃないか?
月詠白鳳
(いや揉み消されるだけだから無駄だな
って、そんなどうでもいい事考えてないで早く向かわないと)
悪信教東京支部
シェイン・ツクヨミ
ねぇねぇ。私何か変わったの?
伊弉冉友梨
そうね。身体能力とか、オーラを扱うこととかが出来るようになってるわよ。
ええと……まずは、悪師権についての説明ね。
悪師権は悪魔の能力のことで、シェインちゃんなら、「〇〇支配」「〇〇操作」「〇〇操作」そして、「〇〇〇〇」この4つね。
最後のは必殺系と言って使ったら相手は手段がなければ絶命するから取り扱いには注意ね。
4つか〜多いのか少ないのかはよく分からないけど……何か凄そう!
シェイン・ツクヨミ
へぇ、何かアクションゲームのキャラのスキル見たいで面白いね。
それで私はこのまま帰ってもいいの?
伊弉冉友梨
ちゃんと全部説明するから、取り敢えず聞いてて。
次に悪師権堕解、これは悪魔の力全てを取り込む力よ。堕天解放は……使えないから省略ね。
まずは、75名の教徒を作ること。厳しそうなら他の方法もあるけど。
日本語全く喋れない私にとって、それはまずい。
そもそも勧誘の仕方とか全然分かんないし……
シェイン・ツクヨミ
な、75人って多くない?
他の方法ってなに?
伊弉冉友梨
悪信教から資金を盗んで逃亡した元64柱司教フュイート・エヴァズィオンの殺害。もしくは生け捕りね。
でもあまりおすすめしないわよ。
場所はここから南に2kmの路地裏よ。
シェイン・ツクヨミ
その人って強いの?
伊弉冉友梨
うーん……過激派だから詳しくは知らないけど、能力に当たらなければ大した事無いわね。
確か悪師権は1つで、【煉獄支配】炎を支配する能力らしいわ。
これを防ぐには煉獄支配を回避、悪師権で防ぐ事だから覚えていてね。
…頑張れば防げそうだ。
殺す事は嫌だから生け捕りの方向で進めよう。
シェイン・ツクヨミ
ならそっちをやるよ。時間が掛からなそうだし。
伊弉冉友梨
本当にいいの?後悔しない?
シェイン・ツクヨミ
うん、大丈夫!
伊弉冉友梨
分かったわ。でも気を付けてね。最近ニュースで暴力団による犯罪が横行しているけど、多分そいつと暴力団のリーダー、同一人物だから。
さらっととんでもない事を聞かされた気がする……
シェイン・ツクヨミ
う……うん、分かった。
路地裏にて
それから通行人に聞いて回って、何とか路地裏に辿り着いた。母国語が全然通用しなかったのは痛かったかな……
シェイン・ツクヨミ
すいませーん。誰か居ますか〜?
路地裏に入り、向かって大きな声で叫んだ。
すると、ぞろぞろと何か人がこっちに来ている。
シェイン・ツクヨミ
あ、良かった。フュイートって人を探していて……
フュイートって人の名前を叫ぶと、私の背中の方から銃声の音が鳴り響いた。
シェイン・ツクヨミ
っ!?
悪師権【海水支配 アクアウォール】
シェイン・ツクヨミ
(銃の速度を落としたから防げたけど……びっくりした……)
暴力団下っ端
っち、能力者か
舌打ちと共にまた銃声が鳴り響く。
感覚で悪師権を使えて良かった。
考えが甘かった。暴力団なんだから、和解出来ない可能性が高いことを全然考えられていなかった。
シェイン・ツクヨミ
私は戦う意思はないの!フュイートって人とお話がしたいの!
暴力団下っ端
なら死んでくれないか?1番最善だ。
シェイン・ツクヨミ
別に私は死にたい訳じゃない。どうしても駄目なら押し退けるよ。
相手は何度も銃を発砲してくる。キリがないと判断して、奥の方へと向かった。
暴力団本拠地
フュイート・エヴァズィオン
へぇ…まさかここまで来るとは、警察ではないね。一体何者だ?
アクアウォールを纏ったまま奥へと走り、道中で数十人から銃を撃たれたけど何とか逃げてきた。
シェイン・ツクヨミ
(この気配……威圧感を感じる…多分今目の前にいるのがフュイート。)
シェイン・ツクヨミ
私はシェイン。悪信教に生け捕りしろって言われてここに来たの。
悪信教の名前を出した途端、何か気配が変わった気がした。
フュイート・エヴァズィオン
……悪信教か、こんな子供がねぇ…
まぁいい。
その瞬間、扉が勢い良く開き誰かが部屋に入ってきた。
暴力団下っ端
ボス!申し訳ございません!ここに金髪のガキが来ませんでしたか?
フュイート・エヴァズィオン
あぁ…それなら目の前にいるよ。
悪信教が侮っていた国だから来たってのに…困ったものだ。
暴力団下っ端
なら俺達が始末します!ボスは下がっていて下さい!
フュイート・エヴァズィオン
いや、その必要はないよ。
暴力団下っ端
え?どういう?
次の瞬間、火が燃え盛る音がして下っ端らしき人の悲鳴が聞こえた。
ゆっくりと、悲鳴が段々小さくなり肉が焦げるような匂いがして、思わず鼻を摘んだ。
シェイン・ツクヨミ
え?な、何?
フュイート・エヴァズィオン
使えない奴を始末しただけだ。彼らは能力を持っていないから期待して無かったが、一撃も与えられないとは……
当たり前のようにフュイートはそう言い放った。
狂っている。躊躇なく人を殺す彼が怖くて、足が震えていた。
フュイート・エヴァズィオン
さてと、戦おうじゃないか、互いの命を懸けて…
逃がしてくれる気は無さそうだ。軽い気持ちでこれをやる事にした過去の自分を呪った。
シェイン・ツクヨミ
……負けないよ……
フュイート・エヴァズィオン
煉獄支配【火炎放射】
シェイン・ツクヨミ
海水支配【アクアボール】
水と火が衝突して火が消火された。フュイートは軽々とそれを避ける。
フュイート・エヴァズィオン
(水か、厄介だな。俺の攻撃も通用しないだろう。)
シェイン・ツクヨミ
(対抗はできても決定打がない!必殺系も条件が満たしてないから使えない…)
フュイート・エヴァズィオン
(あまり長引いても面倒だ。次の一撃で終わらせるか。)
何か嫌な予感がする。
シェイン・ツクヨミ
(相手は炎。なら、アクアウォールを使えば防げる。水の量を増やして防ごう。)
フュイート・エヴァズィオン
煉獄支配【大文字】
シェイン・ツクヨミ
(嘘でしょ!?バリアが蒸発した!?これ、本当にまずっ)
水のバリアが蒸発したその瞬間、街が燃えたあの時と同じ様な熱を感じ……包帯がその熱で溶けた。
いきなり見えるようになった視界に感動する余裕もなく、ただ混乱して相手を見た。
フュイート・エヴァズィオン
な、何だ!?急に……何が……
シェイン・ツクヨミ
え、あ、え?
相手はどろどろになって溶け、その場には火と溶けたフュイートだったものが残った。
私は……人殺しになったんだ…フュイートと……同じ…
月詠白鳳
シェイン!やっと見つけた!何やって……
シェイン・ツクヨミ
はく、ほう?
恐る恐る振り返り、ハクホーは驚いた表情をしていた。私の顔を見て、色々理解したのか手を握ってくれた。
月詠白鳳
大丈夫だ。落ち着くまで傍に居てやるから。
シェイン・ツクヨミ
……う、ん
しばらくはハクホーが私が落ち着くまで傍に居てくれた。
落ち着くまでの間は、ハクホーが後処理をしてくれた。
月詠白鳳
転移石は持ってきている。拠点に帰るぞ。
シェイン・ツクヨミ
うん
拠点にて
シェイン・ツクヨミ
少し、休んでいい?ちょっと疲れて……
月詠白鳳
ああ…包帯の替えを持ってくる。ゆっくりしていてくれ。
言葉に甘えて、私は1度眠ることにした。軽い気持ちで入るんじゃなかった。
to be continued……
何か予定より暗くなったわね。
特に質問は来なかったのでちゃんと伝わってると解釈しておきましょう。
戦闘シーンはムズい。短いし。シェインファンの方ごめんなさい。
水が蒸発する温度って100℃らしいね。
元々堕天解放、神域解界収集つかなそうだから、なしにしようかと思ったけど場合によっては出るかもしれない。
次回はシェインちゃん救済するのでお許しくださいm(_ _)m

アンケート

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