第69話

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2021/02/15 08:21 更新
そうして結婚式当日。
ママ
あなた、綺麗っ……
ママが泣きそうになりながら私の花嫁姿を見る。



何枚ものドレスを試着してやっと決めた1枚。



長いヴェールが特徴の、美しいウェディングドレス。
ママ
本当に、大きくなってっ……
川村(なまえ)
川村あなた
ママ、泣くのはまだ早いよ。式も始まってないんだよ?
必死になだめるけど、ママは号泣したまま。



その時。



__コンコン。
川村壱馬
川村壱馬
あなた、入ってもいいか?
聞きなれた、壱馬くんの声。
川村(なまえ)
川村あなた
うんっ
そう答えると、扉が開き……。



い、イケメンすぎる。



思わずポカンとしてしまいそうなくらい、かっこよく決まってる。
川村壱馬
川村壱馬
あなた、綺麗だ
川村(なまえ)
川村あなた
っ……ありがとう
壱馬くんのストレートな言葉に、胸がくすぐったくなる。
川村(なまえ)
川村あなた
か、壱馬くんもかっこいいよ……
消え入りそうな声でそういうと、壱馬くんはフッと笑った。
川村壱馬
川村壱馬
ありがとな
きゅーん……。
川村壱馬
川村壱馬
そういえば、北人たちも着いてるらしい
川村(なまえ)
川村あなた
そうなの?
川村壱馬
川村壱馬
ああ、けど……
壱馬くんが私の髪にそっと触れる。
川村壱馬
川村壱馬
……他のやつに、見せたくねぇな
__ドキンっ……ドキンっ……。
川村(なまえ)
川村あなた
そ、そんなこと言ったって、みんなの前で愛を誓わなきゃいけないんだよ?
川村壱馬
川村壱馬
……だな。ここは耐えるか
ま、真顔でこういうこと言うんだからっ……!



壱馬くんの言動、行動、ひとつひとつにドキドキして真っ赤になってしまう。



いつか慣れるかも、なんて思ってたけど、何年経っても胸の高鳴りを抑えられない。



__コンコンっ。
吉野北人
吉野北人
あなたちゃん!
川村(なまえ)
川村あなた
北人くん!樹くん、颯太くんも夏喜くんも!
わあ、みんなが揃うの久しぶり……!



と思ったら、
川村(なまえ)
川村あなた
みんな?あれ、どうしたの?
なんか、反応がないというか……。
吉野北人
吉野北人
……やっばい、鼻血出る
藤原樹
藤原樹
……
中島颯太
中島颯太
若かりし頃の思い出が蘇ったわ……
北人くんと樹くんと颯太くんが、それぞれ違う変わったリアクション。



み、みんな大丈夫かな?



そう思って少し心配していると、
川村壱馬
川村壱馬
あんまり見るな
壱馬くんがそう言って私を背中に隠す。
吉野北人
吉野北人
あ、ケチー!いいじゃん、これから毎日、一生あなたちゃんのこと見られるんだよ!?
藤原樹
藤原樹
……花嫁姿は今日しか見られないけど
中島颯太
中島颯太
それは俺達も一緒やろ?
3人のそんなやり取りを見ていると、自然と笑いが込み上げてきて。
川村(なまえ)
川村あなた
ふふっ……やっぱりみんな、全然変わらないね
そういうと、みんな笑顔で笑い合った。









みんなが1度部屋を出ていき、部屋にはひとりになる。



鏡台の横に置いてある、お兄ちゃんの遺影を見た。



お兄ちゃん、見てくれてる?



私ね、花嫁になったんだよ。



今日壱馬くんと結婚するの。



どれだけ幸せか、お兄ちゃんにもわからないくらい幸せかも。



そっと写真を撫でていると。



__コンコン。
川村(なまえ)
川村あなた
はーい
ママかな?と思って振り返ると、
川村(なまえ)
川村あなた
っ……なん、で……
そこに立っていたのは、
川村(なまえ)
川村あなた
坂下さん……っ
招待状は送らなかったのに……!
坂下聖
あなたさん、やっぱり諦められませんよ……
ゆっくりドアを閉めて近づいてくる坂下さんに恐怖が芽生える。
坂下聖
ああ、あなたのウェディングドレス姿……やはり美しい!
川村(なまえ)
川村あなた
っ……どうやってここに来たんですか
警備だって厳重なはずなのに!
坂下聖
簡単なことです。ここのスタッフに化けたんですよ
ニヤリと笑った坂下さんに悪寒がする。



なんなの、この人っ……。
川村(なまえ)
川村あなた
出ていってくださいっ!
坂下聖
イヤですよ、せっかくみんないないんですから
ガタッと席を立つと、お兄ちゃんの遺影がガターン!という音を立てて床に落ちた。
坂下聖
あなたさん……あなたはお美しい……
川村(なまえ)
川村あなた
やめてっ、来ないでっ……!
とうとう壁に追いやられて腕を掴まれる。



グローブ越しに触られたその感触に吐き気さえした。
坂下聖
あなたさん……
川村(なまえ)
川村あなた
やっ……!
そう叫んだとき。



バンッ!
吉野北人
吉野北人
あなたちゃん!……おい、お前誰だ。触るな!!
藤原樹
藤原樹
……絞め殺す
中島颯太
中島颯太
誰に手ェ出しとんねんコラ
3人の姿にほっと心が静まる。
川村(なまえ)
川村あなた
北人くん、樹くん……颯太くん
みんなの名前を呼ぶと、いっせいに坂下さんに殴りかかる。
中島颯太
中島颯太
あなたに触れてんちゃうぞ!
そう言った颯太くんのストレートパンチが命中し。
吉野北人
吉野北人
……うせろ
いつもの面影ゼロの、もはやガチ切れした北人くんの回し蹴りが決まり。
藤原樹
藤原樹
……
相変わらず何を考えてるかよくわからない樹くんが何回か蹴った後に外に引きずっていく。



す、すごかった……。



へなへなとその場に座り込むと、坂下さんが叫ぶように喋る。
坂下聖
あなたさんにふさわしいのは僕だ!絶対に間違いない!!
そう言って逃げようとした坂下さんを、樹くんが無表情で見下ろした。
藤原樹
藤原樹
……バカじゃねぇの
樹くんの言葉に、すっと坂下さんが黙り込んだ。
藤原樹
藤原樹
俺らは、お前みたいなやつにあなたを譲ったんじゃない。壱馬だから身を引いた
どこか絞り出すようにそう言った樹くんに、北人くんや颯太くんも少し俯いた。



そうして坂下さんは警備員に引き渡され、私は崩れた衣装を直してもらう。
川村壱馬
川村壱馬
あなた、大丈夫か?
綺麗に直してもらった後、駆けつけてくれた壱馬くんに、うん、と微笑む。
川村(なまえ)
川村あなた
大丈夫だよ、心配かけてごめん
川村壱馬
川村壱馬
そんなのはいい。……お前が無事でよかった
心からほっとしたようにそう言った壱馬くんに、私もなんだか少し肩の力が抜けた。
川村(なまえ)
川村あなた
そういえば、3人はどうして部屋に飛び込んで来てくれたの?
ナイスタイミングだったけど……。
川村壱馬
川村壱馬
ああ、ちょうどあいつら3人ともこの部屋の下で暇してたんだよ。佐藤が来てリア充が増えたのなんだの言ってたところで、上からなにか音がしたって言ってたけど
音……。



もしかして、お兄ちゃんの遺影が落ちた時の?
川村(なまえ)
川村あなた
こ、これが落ちたの
そういえば、なんで落ちたんだろう?



ぶつかったわけでもなかったように思うんだけど……。
川村壱馬
川村壱馬
……亜嵐さんが、助けてくれたんじゃないか?
壱馬くんの声にハッと顔を上げる。
川村壱馬
川村壱馬
妹の結婚式を、あんな奴にぶち壊されてたまるかって
なんだかその言葉は、壱馬くんの口から出たはずなのに本当にお兄ちゃんが言ったような気がして。



じわり、と涙が滲んできた。



もしかしたら、単に私がぶつかっちゃっただけかもしれない。



でもそれでも、お兄ちゃんが見守ってくれていて、私を助けてくれたって思ってもいいんじゃないかな?



壱馬くんは私の頭をポンポン、となでて、そこで外から呼ばれる。
川村壱馬
川村壱馬
そろそろだな。あなた、涙ぐんでるお前を抱きしめるのも好きだけど、笑顔のお前はもっと好きだ。だから今は……笑ってくれ
フッと優しく笑いながらそう言った壱馬くんに、私はそっと涙を拭った。
川村(なまえ)
川村あなた
うん……っ
そう返事すると壱馬くんと微笑み合い、式場へと向かった。

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