学ランを着た其の少年は、やけに女っぽかった。
此処は男子校だ、女学生なんかが居るわけがない。だから、此の学校では浮いてしまう様な子だった。
何処と無く大人な雰囲気を纏った彼は、長い髪を又女の子っぽく結んでいた。何故か、それが良く似合う。何故かは、分からなかったが、素敵だ、と思った。白い髪が日光に反射して、凄く綺麗だ。其の姿に魅了され、胸を締め付けられる感覚が走る。
失礼だ。
男性に綺麗ですね、何て言えない。僕なんかは更に言っちゃいけない。だって、僕は虐められっ子、他の人に反感を買う様な事は絶対にしてはならない。
僕には、人を褒める権限すらないのだ。
一寸?って、どういう事だ…?
…いや、そんな事はどうでも良い…、僕は、
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死にに、か。
君にはまだ早い…、死など、まだ迎えるのには、早い。
それもそうだ。何故なら私は──────
"女"だから─────────────────。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!