桜田国際高校では、帰りのSHRは基本的に無い。そして、教室移動をして行う授業が多いため、午後の授業はほとんどの生徒がカバンを持って移動している。
そう言うと朱里は教卓にコップのような植木鉢をいくつか置いた。
朱里が芽衣の言葉を聞いて目を輝かせる。
「フィボナッチ数っていうのは──」と言いながら朱里は黒板に数字を書き始めた。
1 , 1 , 2 , 3 , 5 , 8 , 13 , 21 , 34 , 55 , 89 , 144 , ……
璃子は数学は苦手というより嫌いらしく、数列を見ただけで嫌そうな顔をしている。
少しの間、黒板と睨みっ子をしてから、翔太が口を開いた。
指摘されてもあまり自分ではわかっていないようだ。
芽衣が嬉嬉として解説を始める。
1 , 1 , 2 , 3 , 5 , 8 , 13 , 21 , 34 , 55 , 89 , 144 , ……
と書かれた黒板を指さしながら解説を進める。
璃子と翔太はあまり意味を理解出来ていないようだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。