第4話

ep.3
675
2026/02/02 10:56 更新
放課後の音楽室。
ドアを開けると、もう先に誰かがいた。
サンウォン
サンウォン
お、来た
ピアノの横に立っていたサンウォンが、振り向く。
(なまえ)
あなた
お待たせしました
サンウォン
サンウォン
ううん、俺も今着たとこ
ほんの少しの沈黙。
昨日よりも、少しだけ距離が近いのに、
その分、何を話せばいいのか分からない。
サンウォン
サンウォン
.....いつも
サンウォンが先に口を開いた。
サンウォン
サンウォン
放課後、何してるの?
(なまえ)
あなた
え?
サンウォン
サンウォン
音楽室以外とかも行ってたの?
(なまえ)
あなた
はい、図書室とか
サンウォン
サンウォン
一人で?
(なまえ)
あなた
友達が部活終わるのを待ってて
サンウォン
サンウォン
ふ~ん
(なまえ)
あなた
ピアノ弾いたり
鍵盤に目を向けながら、続ける。
(なまえ)
あなた
人を見てるの、好きなので。人間観察したり
サンウォン
サンウォン
へえ
(なまえ)
あなた
あと……普通に、勉強です
最後はちょっと小さな声になった。
サンウォン
サンウォン
あ、苦手なんだ
そう言って、くすっと笑う。
(なまえ)
あなた
はい.......
(なまえ)
あなた
先輩は何されてるんですか?
サンウォン
サンウォン
俺?
サンウォンは少し考えてから、肩をすくめる。
サンウォン
サンウォン
頼まれごと。告白。人付き合い。
(なまえ)
あなた
......おお
サンウォン
サンウォン
で、疲れたらここ
そう言って、ピアノの端を軽く叩く。
(なまえ)
あなた
ここ、落ち着きますか?
サンウォン
サンウォン
うん
即答だった。
サンウォン
サンウォン
だから
一瞬、言葉を切ってから、続ける。
サンウォン
サンウォン
今日も来てよかった
胸の奥が、きゅっとなる。

(昨日より、ちゃんと話してる)
少しの沈黙。
次は私が話を振らないと。
(なまえ)
あなた
……告白されるなんて、すごいですね
サンウォン
サンウォン
そうかな?ㅎ
その言葉に、サンウォンは少しだけ目を細めた。
肩をすくめながら、くすっと笑う。
その笑顔に、胸がぎゅっとなる。

(……かっこいい……)
(なまえ)
あなた
私なんて……告白もされたことないです
サンウォン
サンウォン
……でも、断るのもつらいよ?
サンウォンが返す。
笑顔だけど、ほんの少し切なさも含まれていて、なんだか心が揺れる。
(なまえ)
あなた
なんで、断るんですか?
自然に聞いてしまった。
理由が知りたいわけじゃない。
ただ、どうしてそんな表情になるのか、知りたくて。
サンウォン
サンウォン
だってさ……
彼は少し考えるように目を伏せて、ピアノの鍵盤を指で軽く弾く。
サンウォン
サンウォン
相手のことを考えると……簡単には決められないじゃん
サンウォン
サンウォン
好きでもないのに付き合って、相手にも失礼だと思うから
その言葉に、私はじっと耳を傾ける。
優しさの裏にある葛藤。
そして、それを見せてくれるのは、ここだけなんだ、と気づく。
(なまえ)
あなた
……そうですね
(なまえ)
あなた
先輩が心から好きって思える相手が見つかるといいですね!
そう言うと、彼は一瞬、指を止めてこちらを見た。
その目に、ほんの少し驚きと、そして柔らかい温かさが混ざる。
サンウォン
サンウォン
.......ありがとう
くすっと笑う先輩の笑顔は、完璧王子様でもなく、
ありのままのイ・サンウォンとしての笑顔だったと思う。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
この音楽室での時間が、少しずつ、特別になっていく。

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