翌日、移動教室の時間。
廊下はいつもより騒がしかった。
前の方で、女子たちの黄色い声が上がる。
「きゃー!」「やばい、並んでる…!」
何事かと思って視線を向けると、
人だかりの中心に、サンウォン先輩と――もう一人。
背が高くて、少しラフな雰囲気の先輩。
余裕のある笑い方をしている。
ジヨンが小声で言う。
そのとき、ちょうど目が合った。
私は小さく会釈をする。
すると――
笑顔は王子様だったけれど、自然な声でサンウォン先輩が言った。
一瞬、周りの空気が止まった気がする。
慌てて返す。
隣の先輩が、面白そうにこちらを見る。
サンウォンはそれだけ答える。
ジヨンがぺこっと頭を下げた。
そして、なんだか隣のきム・ゴヌ先輩は、
私をじっと見て、口角を上げる。
慣れてなさ過ぎて、一気に顔が熱くなる。
サンウォン先輩が少しだけ低い声で呼ぶ。
でも怒っているわけではなく、どこか抑えた感じ
すると先輩が一歩、私たちに近づいて
と言った。
その言葉を発するのに、どこか焦っているようで。
そのまま二人は歩き出す。
去り際、サンウォンが一瞬だけこちらを見る。
ほんの少しだけ拗ねたみたいな目で何かを訴えてくる。
何が言いたかったのかはわからなかったけれど、
それは放課後音楽室で聞くことにしよう。
横でジヨンが爆発した。
ジヨンからの質問攻撃を避けながら教室へ向かう。
ジヨンの目がきらきらしている。
私の前に仁王立ちしてそう言ってくる。
そして――
(早く行かなきゃじゃない?って……)
あれ、ちょっとだけ。
ほんの少しだけ。
可愛かった。
そう言って、私はそれをごまかすように走っていった。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。