私は燐音先輩が手の力を抜いた瞬間ささっと
離れた。
土下座するのでは?というくらい深々と私に頭を
下げる藍良。
私が『頭を上げて』と告げれば、藍良は頭を上げた
『嫌々』と駄々を捏ねる大人気のない大人。
そんな彼を無視して私は後ろを振り返る。
一度顔だけを後ろに向けて藍良と巽に手を振ってから
旧館を出たのだった。
____…そして私は外に出た。
もうとにかく疲れて…くたくたとしつつ星奏館目指して
歩く。
…そう独り呟いた時…目の前になにやらキョロキョロ
と当たりを見渡して慌ただしくしている人が見えた。
目を細めよーく見てみるとそれが零だということが
わかった。
こちらに気づいた零が、息を切らした様子で
早歩きをして向かってくる。
近寄ってきたと思えば…突然勢いよく抱きしめられた。
…まさか星奏館に戻ってこなかった私を心配して
探しに来てくれたのかな。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。