車に乗り込み、私たちは今日のライブについて話していた。
暗闇で光るペンライトが綺麗だったこと、自分の名前が書いてあるうちわを見つけて嬉しかったこと.......話題は全くつきなかった。
そう言って藍理は私に抱きついてくる。
照れてやめてよ、なんて言うけれど、本当はすっごく嬉しい。
こんなありきたりな日常が私の宝物だったりして、いつまでも続けばいいのに。なんて柄じゃなく思った。
ふと窓の外を見てみると、そこにはさっきと同じ景色が広がっている。
あれから1時間くらいたったが、まだ渋滞は続いていた。
あれ?あの人この車誘導してない.......?
私は指を指して言ってみた。
マネージャーさんが車を動かす。
あぁ、この時私がこんなことを言っていなければ、あんなゲームには巻き込まれなかったのかもしれない。
ガコン!!大きな音がして私たちが乗っている車が飛び出す。
目の前に広がるのは.......崖の下だった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。