no side
『どもどもども〜。イケメンが着替えに来ましたよぉ〜』
夜久「黙れナルシスト。」
マネージャーの仕事を終わらせた如月は選手たちが着替えている部室に入りながら、アホなことを言って夜久に怒られる。
…やはり如月は学習しない。
夜久の辛辣な言葉に怯みもせず、如月は自分の着替えがあるロッカーの前に行く。
『やだなぁ夜久さん。俺はただ事実を言ってるだけなんですよねぇ〜』
そう軽口を叩きながら服を脱いでいく如月。
ナルシストと言えど、顔立ちは整っているのでその姿はとても色気があり、様になっていた。
『あぁ、そういえば…』
と、制服のネクタイを締めながら如月は口を開く。
夜久「なんだよ…またテメェの自慢話なら今度こそ容赦しねぇからな。」
夜久は睨みをきかすが、今回は見当違いらしく如月はすぐに否定をした。
『今年の夏合宿、烏野も来るらしいっすよ。』
如月の知らせによって部員一同が盛り上がる。
「まじか!」「テンション上がってきたァ!」「アイツら変わってるかな!」
みんな盛り上がっている様子に如月は頬を緩める。
クズな男だが、如月も何だかんだ言って選手たちが喜ぶことは自分にとっても喜ばしいことらしい。
でも、一つ如月は疑問があった。
『あの、…夏合宿ってなんすか?普通の合宿と同じ感じですかね?』
如月の質問に、今年入部した一年も共感するように頷く。
『(知らねぇのに一緒に盛り上がってたんかい)』
と、心の中でツッコミを入れる如月。
黒尾「あれ、お前ら知らなかったっけ
梟谷学園、音駒高校、生川高校、森然高校の4校の梟谷グループで毎年夏休みに強化合宿やってんだ。
でもゲームで負けるとペナルティがキツくてなぁ…」
そう黒尾が言うと、去年の嫌な出来事を思い出したのか、孤爪は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
そんな孤爪に気づき、如月は孤爪に声をかける。
『なになに研磨ぁ。嫌なことでも思い出したんか?ゲロっちゃったとかぁ?』
と、茶化す如月をひと睨みする孤爪。
孤爪「うるさいあなた。…本当、去年は辛かった。」
海「まぁ、去年の3年生がインターハイで引退して、間もなく夏合宿だったからチームもごたごただったしな」
山本「坂道ダッシュがいっちゃんきちい。」
福永「それナゲッツ。」
「「「…」」」
…孤爪の言葉に海、山本、福永が頷く。
相当辛い思いをしたのだろう。
それでも、彼らは確実に心身共に強くなるのを感じ、成長出来たのもまた事実なのだろう。
だから今年も夏合宿に参加出来るのはとても嬉しいようだった。
…孤爪1人を除いて。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!